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生成AIパスポートを受けようとして参考書を開くと、ニューラルネットワーク、RLHF、AIエージェント、シャドーAIと、知らない言葉が最初から並びます。
私は2026年6月の回を受けて合格しました。結果画面に出たのは章ごとの正答率だけで、第1章が87.5%、第2章から第5章は100%でした。問われるのは、ほとんどが用語の意味です。サービスを設計させる問題も、計算問題もありません。シラバスに載っている言葉を、自分の口で説明できる状態になっていれば届きます。60分も余りました。
合格率は約8割で、入門の資格です。難しい試験ではありません。それでも落ちる人がいるのは、用語の数に対して覚え方が合っていないからです。シラバスの用語は200を超えますが、出題を360問ぶん並べてみると、聞かれ方は章ごとにかなり限られています。章ごとに見るポイントを1つ決めておくと、用語を全部覚えていなくても選択肢は絞れます。
試験の概要と、勉強の順番をこの記事にまとめています。各章の中身は、別の5本に分けています。
なお、生成AIパスポートのシラバスは2027年2月試験から大きく改訂されます。このシリーズは、2027年2月試験から適用される新しいシラバスに合わせて書き直しています。新旧の違いは、記事の後半に書いています。
生成AIパスポート試験とは
試験の基本情報
60問を60分で解くので、1問あたり1分です。オンライン受験(IBT)なので、自宅のパソコンやスマートフォンから受けられます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 実施団体 | 一般社団法人 生成AI活用普及協会(GUGA) |
| 出題数・試験時間 | 60問 / 60分 |
| 出題形式 | 四肢択一式(一部複数選択を含む) |
| 受験方式 | オンライン実施(IBT方式)。パソコン・スマートフォン・タブレットから受験可能 |
| 受験料 | 一般 11,000円(税込)/学生 5,500円(税込) |
| 開催回数 | 年5回(2月・4月・6月・8月・10月) |
| 申込期間 | 受験月の前々月1日から前月末日まで |
| 受験資格 | 制限なし |
| 合格基準 | 非公表 |
| 資格の有効期限 | 無期限(任意の資格更新テストあり) |
開催回数は、もともと年3回でしたが、受験需要の増加を受けて年5回に拡大されています。申込期間は受験月の2か月前から始まるため、「受けよう」と思った月にはもう申込が締め切られていることがあります。受験月を決めたら、まず申込期間を確認してください。
※ 数値は2026年10月1日時点のものです。最新の情報は公式サイトで確認してください。
合格率は約8割。ただし「落ちない試験」ではない
私が受けた2026年6月試験では、受験者21,752名に対して合格者17,380名、合格率79.90%という結果が公表されています。その前の2026年4月試験は受験者9,436名・合格者7,487名で79.35%でした。累計の受験者数は11万名を超えています。
合格率は回によって動きます。目安にはなりますが、自分が受かるかどうかの根拠には使えません。
8割が受かる試験なので、難関ではありません。ただ、裏を返せば5人に1人は落ちているということでもあります。受験料は1回11,000円ですから、落ちると安くはありません。
落ちる原因で多いのは、次の2つだと思っています。
- シラバスの改訂に教材が追いついていない。 後述しますが、2027年2月試験からは章立てそのものが変わり、AIエージェント、シャドーAI、出力の検証、業務別の活用といった範囲が新しく入りました。古い教材だけで学習すると、この部分が丸ごと抜けます
- 用語を1つずつ覚えようとして、量に負ける。 シラバスの用語は200を超えます。関係づけずに暗記しようとすると、試験直前で混ざります
この2つは、どちらも学習の進め方で防げます。
シラバス5章の構成
5章の全体像
2027年2月試験から適用される新しいシラバスも、5章構成です。章ごとの出題数は公表されていませんが、シラバスの分量はおおむね均等なので、5章それぞれに同じくらいの時間をかけるのが無難です。
第1章と第2章が技術の土台、第3章がAIエージェント、第4章がリスク・倫理・ガバナンス、第5章が業務での使い方です。第1章から順に積み上がっています。
| 章 | タイトル | 扱う範囲 |
|---|---|---|
| 第1章 | AIの基礎と歴史 | ルールベースと機械学習、学習の手法、ニューラルネットワークの学習の仕組み、過学習、CNN・RNN・VAE・GAN、AIの歴史 |
| 第2章 | 生成AI | Transformer、拡散モデル、基盤モデル、事前学習・RLHF、次トークン予測とハルシネーション、Temperature、LLMの利用形態、主要モデル |
| 第3章 | AIエージェント | ワークフロー型と自律型、RAG、エージェントの仕組み、MCP・A2A・Agent Skills、活用事例、リスクと安全に使う原則 |
| 第4章 | 生成AIのリスク予防・AI倫理・ガバナンス | 利用者のマインドセット、代表的なリスク、シャドーAI、出力の検証、個人情報、著作権、AI事業者ガイドライン、社内ガイドライン、AI法 |
| 第5章 | 生成AIの実践と活用事例 | プロンプトエンジニアリング、文書作成、企画・マーケティング、クリエイティブ制作、データ分析、開発・業務自動化、業種別の活用 |
章ごとの「選択肢を切る軸」
章ごとに、見るポイントを1つ決めておくと解きやすいです。用語を思い出せなくても、そのポイントがあれば選択肢は2つまで絞れます。
問題を読んだら、まず何章の問題かを見て、その章の見方を当てはめます。用語を思い出す前に、これで選択肢を減らします。
| 章 | 選択肢を切る軸 |
|---|---|
| 第1章 | 正解のラベルがあるか/学習の流れのどこの話か |
| 第2章 | 学習のどの段階の話か/次のトークンを確率で選んでいる |
| 第3章 | モデルの中身を変えるのか、外から材料や道具を渡すのか/権限を絞り、人が確認しているか |
| 第4章 | どこまで確かめ、誰が責任を持つか |
| 第5章 | 伝える → 作らせる → 確かめる のどこが欠けているか |
章をまたいでつながっている3つの考え方
5章は独立していません。同じ考え方が、章を変えて何度も出てきます。ここに気づくと、覚える量はかなり減ります。
つながり1:「重みを変えるか、変えないか」
第2章のファインチューニング(重みを変える)、第3章のRAG(変えない)、第5章のFew-Shotプロンプティング(変えない)は、同じ線の上に並びます。「モデルを学び直させるのか、外から材料を渡すだけなのか」で、3つの章がつながります。
つながり2:「人が確認する」
第3章のAIエージェントに取り消しにくい操作を任せるときの承認、第4章の用途と影響度に応じた出力の検証、第5章の業務ごとの確認のポイント。どれも「AIが作り、人が確かめて責任を持つ」が答えになります。新シラバスでは、この考え方が第3章から第5章までを通る柱になりました。
つながり3:「弱点と、それを補う仕組み」
第2章で扱う「次のトークンを確率で選んでいる」という仕組みから、ハルシネーションや計算の誤りが生まれます。それを補うのが、第3章のRAG(根拠となる資料を渡す)、第4章のファクトチェックと検証レベル、第5章の検算や一次情報の確認です。弱点と対策を対にして覚えると、どちらも忘れにくくなります。
章別の解説記事
各章の中身は、章ごとに1本ずつ記事にまとめています。それぞれ、新シラバスの中項目に沿った解説と、本番形式の例題3問が入っています。
第1章 AIの基礎と歴史
ルールベースと機械学習の違い、教師あり・教師なし・強化学習、ニューラルネットワークの学習の流れ、過学習と対策、CNN・RNN・VAE・GAN、AIの歴史まで。第2章以降の土台になるので、ここを飛ばすと後の章がすべて丸暗記になります。
▶ 生成AIパスポート 第1章「AIの基礎と歴史」の要点|機械学習・ニューラルネットワーク・AIの歴史
第2章 生成AI
Transformerと拡散モデル、事前学習・ファインチューニング・RLHF、ハルシネーションが起きる理由、TemperatureとTop-p、クラウドとオンプレミスの利用形態、主要なモデルまで。生成AIの「なぜそう動くのか」を扱う章で、第3章以降の理解の前提になります。
▶ 生成AIパスポート 第2章「生成AI」の要点|Transformer・学習と生成の仕組み・LLM・主要モデル
第3章 AIエージェント
新シラバスで独立した章です。ワークフロー型と自律型、RAGとその発展、エージェントの仕組み(ツール・記憶・コンテキストエンジニアリング)、MCP・A2A・Agent Skills、権限の過剰付与やプロンプトインジェクションへの対策まで。旧シラバスの教材には大半が載っていない範囲なので、特に注意してください。
▶ 生成AIパスポート 第3章「AIエージェント」の要点|RAG・MCP・Agent Skills・安全に使う原則
第4章 生成AIのリスク予防・AI倫理・ガバナンス
利用者の基本姿勢、代表的なリスク、シャドーAI、用途と影響度に応じた出力の検証、個人情報と著作権、AI事業者ガイドライン、社内ガイドラインとツールの選定、AI法と国際ルールまで。5章のなかで最も範囲が広い章ですが、技術の知識は不要なので、文系の方が得点源にしやすい章でもあります。
▶ 生成AIパスポート 第4章「リスク予防・AI倫理・ガバナンス」の要点|シャドーAI・個人情報・著作権・AI法
第5章 生成AIの実践と活用事例
プロンプトの構成要素とZero-Shot・Few-Shot・Chain-of-Thought、文書作成・企画・クリエイティブ・データ分析・開発での使い方と確認のポイント、業種別の活用まで。資格を取らなくても業務にそのまま使える章です。
▶ 生成AIパスポート 第5章「生成AIの実践と活用事例」の要点|プロンプト・業務別の使い方・注意点
2週間で一周する学習ロードマップ
進める順番
第1週は第1章から第3章の技術系、第2週は第4章・第5章と総復習です。読む時間と解く時間の比率は、後半になるほど解くほうに寄せます。
第1週:技術の土台をつくる
| 日 | やること |
|---|---|
| 1〜2日目 | 第1章。機械学習の分類と、ニューラルネットワークの学習の流れを図で押さえる |
| 3〜4日目 | 第2章。Transformer、学習の3段階、次トークン予測とハルシネーション |
| 5日目 | 第2章の残り。TemperatureとTop-p、LLMの利用形態、主要モデル |
| 6〜7日目 | 第3章。RAGとファインチューニングの違い、エージェントの仕組み、MCP・A2A・Agent Skills、安全に使う原則 |
第2週:リスクと使い方、そして総復習
| 日 | やること |
|---|---|
| 8〜9日目 | 第4章前半。マインドセット、代表的なリスク、シャドーAI、出力の検証、個人情報 |
| 10日目 | 第4章後半。著作権、AI事業者ガイドライン、社内ガイドライン、AI法と国際ルール |
| 11〜12日目 | 第5章。プロンプトの構成要素と手法、業務別の使い方と確認のポイント |
| 13日目 | 問題を解く。間違えた章だけ記事に戻る |
| 14日目 | 全章のまとめだけを読み返す。用語の対応表を見直す |
この順番にしているのは、第1章から順に積み上がる構造になっているからです。第2章のモデルの話はニューラルネットワークの知識が前提ですし、第3章のRAGは第2章のファインチューニングとの対比で理解するのが速いからです。第4章と第5章も、第3章のAIエージェントのリスクを知っていると、権限や確認の話がすっと入ります。興味のある第5章から入りたくなりますが、遠回りになります。
インプットとアウトプットの比率を移していく
私は資格試験をいくつも受けてきましたが、毎回いちばん効いたのは「最初は読む、途中から解く、最後は間違えたところだけ読み返す」という比率の移し方でした。
最初から問題だけ解くと、用語の全体が見えていないので、なぜ間違えたかが分かりません。最後まで読むだけだと、分かった気で止まります。1週目は読んで、2週目の後半から解いて、間違えた章だけ記事に戻る。この往復が、私にはいちばん合っていました。
もう1つ、資格の勉強を始める前に必ずやっているのが、公式のシラバスを先に通して読むことです。何が出て何が出ないかを先に確定させておくと、教材を読んでいるときに「これは範囲外だな」と判断できて、迷いが減ります。生成AIパスポートのシラバスは公式サイトからPDFで入手できるので、学習を始める前に一度通して読んでおくことをおすすめします。
説明できない用語だけを残す
私が受験前にやったのは、シラバスの用語を上から順に見て、自分の言葉で説明が詰まるものだけを生成AIに聞き返すことでした。このとき、意味を説明させて終わりにせず、「この用語は隣の用語と何が違うか」まで返してもらい、それを自分で言い直します。すでに説明できる用語は飛ばし、残ったものだけを繰り返しました。
覚えていない用語は人によって違うので、全員が全範囲を同じ密度でやり直す必要はありません。先にシラバスを通して読むのは、この「残す用語」を選ぶためでもあります。
もう1つ、結果が返ってきてから気づいたことがあります。私が唯一落としたのは第1章で、AIの歴史やシンギュラリティのような、仕事で使う機会がなく、興味も持てなかった範囲でした。興味がわかない範囲は、理解して納得しようとするより、用語カードのように短時間で何度も回したほうが残ります。第4章の法律と原則の名前も、同じ扱いにしたほうがよい範囲です。
受験の様子と、AWSやAzureのAI資格のあとに足した範囲は、合格体験記にまとめています。
▶ 【合格体験記】生成AIパスポートの勉強方法|AIFとAI-900のあと、約10時間で合格した
章ごとの理解度を確かめたい方に向けて、5章×6問の練習問題30問を解説つきで無料公開しています。スマートフォンでそのまま解ける無料アプリもあります。
▶ 【無料30問】生成AIパスポート 練習問題|章別・全問解説付き
本番形式の360問で仕上げる
生成AIパスポート 模擬試験360問(本番形式60問×6回)【2026年シラバス対応】
本番と同じ60問・60分の模擬試験を6回分、全360問。全問を2026年シラバスから書き下ろし、RAG・AIエージェント・MCP・AI新法といった追加範囲も含めています。正解・不正解を問わず全選択肢に解説をつけているので、間違えた理由がその場で分かります。
当ブログ限定クーポン:通常 2,600円 → 1,500円
教材を選ぶときはシラバスの改訂を必ず見る
シラバスは毎年2月を基本に改訂される
公式には「毎年2月を基本として年1回以上の頻度でシラバスの改訂を行っています」と示されています。生成AIは動きが速い領域なので、この改訂は小さな修正ではありません。2026年2月の改訂ではRAG、AIエージェント、MCP、AI新法(新シラバスでの呼び方はAI法)が加わり、2027年2月の改訂では章立てそのものが変わりました。
2027年2月試験からは章立てが変わる
2026年10月1日、公式から2027年試験のシラバスを大幅に改訂するという発表がありました。改訂版の公式テキストの予約販売と、有資格者向けの資格更新テストの申込受付も同時に始まっています。
| 章 | 旧シラバス(2026年10月試験まで) | 新シラバス(2027年2月試験から) |
|---|---|---|
| 第1章 | AI(人工知能) | AIの基礎と歴史 |
| 第2章 | 生成AI(ジェネレーティブAI) | 生成AI |
| 第3章 | 現在の生成AI(ジェネレーティブAI)の動向 | AIエージェント |
| 第4章 | 情報リテラシー・基本理念とAI社会原則 | 生成AIのリスク予防・AI倫理・ガバナンス |
| 第5章 | テキスト生成AIのプロンプト制作と実例 | 生成AIの実践と活用事例 |
章ごとの主な変化は次のとおりです。
- 第1章・第2章:個別のサービス名や生成モデルの歴史より、学習と生成の仕組みを重視する構成に。CNN・RNN・VAE・GANは第1章へ、LLMやTemperatureは第2章へ移った
- 第3章:AIエージェントが独立した章になり、A2A、Agent Skills、コンテキストエンジニアリング、プロンプトインジェクション、安全に使う原則と評価が加わった
- 第4章:シャドーAI、出力の評価と検証、社内ガイドラインとツールの選定、国際ルールとAI安全保障が加わった。インターネットリテラシーの4要素や攻撃手口の細かい名前は外れた
- 第5章:プロンプトの書き方に加えて、文書作成・企画・クリエイティブ・データ分析・開発・業種別の活用と、それぞれの確認のポイントが範囲になった
2026年10月試験までと、2027年2月試験以降では、見るシラバスが違います。このシリーズ5本と練習問題は、2027年2月試験から適用される新しいシラバスに合わせています。2026年10月試験を受ける人は、旧シラバスの範囲(第3章の「現在の生成AIの動向」など)も公式のシラバスで確認してください。
▶ 生成AIパスポート、2027年試験のシラバスを大幅改訂|GUGA
教材を買う前のチェックポイント
- 奥付や商品ページの発行年月と、対応している試験回を見る。「2027年2月試験対応」「新シラバス対応」と明記されているかを確認する
- 目次の章立てを見る。第3章が「AIエージェント」、第4章に「シャドーAI」「AI出力の評価と検証」「社内ガイドライン」が入っていれば、新シラバスに対応しています
- 問題集は、複数選択の問題が含まれているかを見る。本番は「一部複数選択を含む」形式なので、単一選択だけの問題集では形式に慣れません
受験当日の進め方
60問60分の時間配分
1問1分です。四肢択一なので、分かる問題は20〜30秒で終わります。ここで時間を貯めて、迷う問題に回す形になります。
私が受けたときは、この3周を終えても時間が余りました。用語の意味を問う形式なので、分かる問題はほとんど即答になるためです。ただしこれは、用語を説明できる状態まで仕上げてから受けた場合の話です。迷う問題が増えれば、60分はそれほど余裕のある時間ではありません。
- 1周目(35分目安):迷わず答えられる問題だけ答える。少しでも迷ったら印を付けて飛ばす
- 2周目(15分目安):飛ばした問題に戻る。章ごとの軸を当てはめて、選択肢を2つまで絞る
- 3周目(10分目安):複数選択の問題を見直す。選ぶ数が合っているかを確認する
複数選択の問題は、選ぶ数を間違えるだけで落とします。「2つ選びなさい」なのに1つしか選んでいない、という選ぶ数の間違いが起きやすいので、最後に数だけ確認する時間を取ってください。
オンライン受験(IBT)の実際
IBT方式なので、自宅のパソコンやスマートフォンから受けます。テストセンターには行きません。そのぶん、自分の通信環境が安定している必要があります。受験期間は1か月あるので、月末ぎりぎりを避けて、早めに受けてください。通信が切れたときに、対応する時間が残ります。
私は自宅で受けました。AWSのオンライン受験(OnVUE)のように、試験前に部屋の四方をカメラで映したり、机の上のものをどけるよう指示されたりすることはありませんでした。受験中に監督者からカメラ越しに声をかけられることもありません。公式が示している受験環境の条件は、自分以外が部屋に入らないこと、筆記具を置かないこと、複数モニターを使わないことで、家具や家電を片づける必要はないと案内されています。
ただし、手続きが簡単なことと、見ながら受けてよいことは別です。外部サイトやAIへの問い合わせ、別の端末での検索は禁止されており、ログ・映像・操作履歴から不正と判断された場合はその回が無効になる、と公式の禁止事項に書かれています。
もう1つ、知っておくと戸惑わないのが結果の出方です。Web試験なので終了ボタンを押した瞬間に合否が出るものだと思っていましたが、実際は後日メールで通知が来ました。公式案内では、受験期間が終わってから1か月以内に会員ページで知らせるとなっています。総合点は表示されず、出るのは章ごとの正答率だけです。ピアソンVUEで受けるAWSの試験のように、終了直後に点数が出る形ではありません。
よくある質問
Q. 非エンジニアでも合格できますか?
できます。第4章(リスク・倫理・ガバナンス)と第5章(業務での使い方)は、技術の知識がなくても読めます。この2章を先に取れるようにしてから、第1章〜第3章に時間をかけるのが、非エンジニアには現実的です。
Q. どのくらいの勉強時間が必要ですか?
まったくの初学者で20〜30時間、生成AIを業務で使っている方なら10〜15時間というのが目安です。この記事のロードマップは、1日1〜2時間で2週間という前提で組んでいます。
私の場合は、AWSのAI Practitioner(AIF-C01)とAzureのAI-900を取ったあとだったので、足した勉強は10時間ほどでした。ただしこれは、両方の範囲を一度覚えたあとの差分です。どちらも持っていない方が10時間で届く、という話ではありません。
Q. ITの資格を持っていると有利ですか?
第1章と第2章は楽になります。機械学習やニューラルネットワークの用語に触れたことがあれば、この2章はほぼ読むだけで済みます。一方、第4章の法律・ガイドラインの部分は、IT資格の知識ではカバーできません。得意な章で時間を節約して、第4章に回すのがよいと思います。
クラウド各社のAI入門資格(AWSのAI Practitioner、AzureのAI-900/AI-901など)を持っている場合は、重なり方がもう少しはっきりしています。私が両方を取ったあとで受けた実感をもとに、新シラバスの章立てに当てはめると、こうなります。
| 章 | クラウドのAI資格で足りやすい範囲 | 別に埋める必要がある範囲 |
|---|---|---|
| 第1章 | 教師あり学習などの学習の型 | AIの歴史、ルールベースと機械学習の違い |
| 第2章 | Transformer、事前学習、RLHF、Temperature | 主要なモデルと提供企業、オンプレミス・オープンソースのLLM |
| 第3章 | RAG、AIエージェントの基本、MCP(AWSのAI Practitioner側。AI-900にはどれもありません) | A2A、Agent Skills、コンテキストエンジニアリング、エージェント特有のリスク |
| 第4章 | 公平性・透明性といった原則の名前だけ | シャドーAI、出力の検証、個人情報保護法、著作権、AI事業者ガイドライン、社内ガイドライン、AI法 |
| 第5章 | Zero-Shot、Few-Shot | 文書作成・企画・データ分析など、業務別の使い方と確認のポイント |
ほぼそのまま足すことになるのは第4章です。 「責任あるAI」として公平性や透明性の名前は重なりますが、名前を知っているだけでは法律とガイドラインの中身は埋まりません。新シラバスではシャドーAIや社内ガイドラインといった組織の運用の話も加わったので、足す量はさらに増えています。
Q. この資格を取ると、仕事で何が変わりますか?
いちばん変わるのは「入力する前に止まる」習慣が付くことです。社内文書を外部のサービスに貼り付けようとした瞬間に、個人情報が含まれていないか、そのサービスの規約で入力内容がどう扱われるか、という問いが浮かぶようになります。
もう1つは、話が通じるようになることです。私はAIエージェントに開発作業を任せるプロジェクトを運営していますが、こうした場で飛び交う言葉(RAG、エージェント、ハルシネーション、権限の範囲)は、どれもこの試験の範囲に入っています。資格で入るのは知識そのものというより、話を聞いたときに引っかかる観点のほうだと感じています。
▶ 「人間がコードを書かない」開発プロジェクトを運営してわかったこと
Q. 資格に有効期限はありますか?更新は必要ですか?
一度取得した資格は無期限です。更新しなくても失効しません。
そのうえで、有資格者向けに資格更新テストという任意の仕組みが用意されています。シラバス改訂のタイミングで開催され、講習動画の視聴(3時間程度)とチェックテスト10問(制限時間15分)を受け、合格すると新しいオープンバッジが発行されます。受講費用は6,600円(税込)、学生は3,300円(税込)です。
私は、失効しないことと、知識が最新であることは別だと思っています。この分野では、1年前の教材に書いてあることが今は違う、ということが普通に起きます。履歴書や社内の申告に書くときは、資格名に加えて取得年とシラバスの版を添えておくと、相手に伝わります。更新テストは、その「いつ時点の知識か」を示し直す仕組みだと思うと、受ける意味が分かりやすいです。
Q. 次に取るならどんな資格がありますか?
生成AIを「使う側」から「作る側・選ぶ側」に進みたいなら、クラウド事業者のAI系入門資格が近い位置にあります。AWSのAI Practitioner(AIF-C01)は、生成AIパスポートで覚えた用語(ハルシネーション、ファインチューニング、RAG、プロンプトエンジニアリング)がそのまま出てくるので、接続がよい資格です。
▶ AWS AIF(AI Practitioner)の勉強方法|1ヶ月で合格した教材と学習手順
まとめ
- 生成AIパスポートは60問60分のIBT試験。年5回開催、受験料11,000円(税込)、合格率は約8割
- 落ちる原因の多くは「シラバス改訂に教材が追いついていない」「用語を関係づけずに覚えている」の2つ
- 章ごとに見るポイントを1つ決めておくと、用語を全部覚えていなくても選択肢は絞れる
- 5章は独立していない。「重みを変えるか」「人が確認する」「弱点と補う仕組み」の3つが、章をまたいでつながっている
- 学習は第1章から順に積む。第5章から入ると遠回りになる
- 教材は、第3章が「AIエージェント」、第4章にシャドーAIや出力の検証が入っているかで、新シラバスへの対応を判定できる
- 問われるのはほとんどが用語の意味。シラバスの言葉を自分で説明できる状態が合格ラインの目安になる
- 2027年2月試験からシラバスが大幅に改訂され、第3章はAIエージェント、第4章はリスク予防・AI倫理・ガバナンス、第5章は実践と活用事例になった。このシリーズは新シラバスに対応している
- 当日は1周目で確実な問題を片付け、最後に複数選択の「選ぶ数」を必ず確認する
各章の詳しい解説は、以下の5本にまとめています。
▶ 生成AIパスポート 第1章「AIの基礎と歴史」の要点|機械学習・ニューラルネットワーク・AIの歴史
▶ 生成AIパスポート 第2章「生成AI」の要点|Transformer・学習と生成の仕組み・LLM・主要モデル
▶ 生成AIパスポート 第3章「AIエージェント」の要点|RAG・MCP・Agent Skills・安全に使う原則
▶ 生成AIパスポート 第4章「リスク予防・AI倫理・ガバナンス」の要点|シャドーAI・個人情報・著作権・AI法
▶ 生成AIパスポート 第5章「生成AIの実践と活用事例」の要点|プロンプト・業務別の使い方・注意点
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システムエンジニア
AWSを中心としたクラウド案件に携わっています。
IoTシステムのバックエンド開発、Datadogを用いた監視開発など経験があります。
IT資格マニアでいろいろ取得しています。
AWS認定:SCS, ANS, AIP, SAP, DOP, SAA, DVA, SOA, CLF
Azure認定:AZ-104, AZ-300
ITIL Foundation
Oracle Master Bronze (DBA)
Oracle Master Silver (SQL)
Oracle Java Silver SE
■略歴
理系の大学院を卒業
IT企業に就職
AWSのシステム導入のプロジェクトを担当
