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問題文:
大手小売チェーンは、EC サイトが出力する購買イベントのログを分析する仕組みを求めています。ログは 1 日あたり約 40 万件発生し、JSON 形式で Amazon S3 バケットに保存されています。マーケティング担当者が週に数回、売れ筋商品の傾向を調べるために簡単な集計クエリを実行します。ソリューションアーキテクトは、既存の構成への変更を最小限に抑えつつ、この分析機能を提供する必要があります。
最小限の運用負担で要件を満たすために、ソリューションアーキテクトは何をすべきでしょうか?

選択肢:
A. ログを Amazon OpenSearch Service のドメインへ取り込み、全文検索とダッシュボードで傾向を把握します。

B. Amazon Athena を Amazon S3 と組み合わせて、必要に応じて SQL クエリを実行します。

C. すべてのログを Amazon Redshift に読み込み、プロビジョンドクラスター上で必要に応じて SQL クエリを実行します。

D. AWS Glue でログをカタログ化し、Amazon EMR の一時的な Apache Spark クラスターで SQL クエリを実行します。

正解:B

A. ログを Amazon OpenSearch Service のドメインへ取り込み、全文検索とダッシュボードで傾向を把握します。

不正解 Amazon OpenSearch Service はログの全文検索や可視化に強みがありますが、この選択肢のようにドメインへ取り込む構成では、S3 のログをドメインへ送ってインデックス化する仕組みを追加する必要があり、既存構成の変更を伴います。また、ドメインはクラスターとして運用するため、ノードの管理やスケーリングの判断が運用負担になります。なお、S3 のデータを取り込まずに参照するダイレクトクエリ(Amazon S3 とのゼロ ETL 統合)も利用できますが、その場合もドメインの運用は残ります。データを S3 に置いたまま週に数回だけ集計する用途では、取り込みの手間と運用コストが要件に合いません。

B. Amazon Athena を Amazon S3 と組み合わせて、必要に応じて SQL クエリを実行します。

正解 Amazon Athena は S3 上のデータを直接クエリできるサーバーレスの対話型クエリサービスです。JSON など複数の形式に対応し、標準 SQL で集計できます。サーバーの準備や管理が不要で、スキャンしたデータ量に応じた課金となるため、週に数回の軽い集計に向きます。データは S3 に置いたままでよいため、既存構成への変更が最小限で済みます。

C. すべてのログを Amazon Redshift に読み込み、プロビジョンドクラスター上で必要に応じて SQL クエリを実行します。

不正解 Amazon Redshift は大規模な分析ワークロードに強いデータウェアハウスですが、この要件には向きません。日々増える 40 万件のログをすべて Redshift へロードする工程が必要で、これには時間と費用がかかります。さらにクラスターのサイジングやメンテナンスという運用負担が常に発生します。週に数回の軽い集計には過剰な機能であり、既存構成への変更も大きくなります。

D. AWS Glue でログをカタログ化し、Amazon EMR の一時的な Apache Spark クラスターで SQL クエリを実行します。

不正解 AWS Glue と Amazon EMR の組み合わせは、複雑な変換処理や大規模なバッチには適していますが、この要件には過剰です。データカタログの作成に加えて Spark クラスターの起動と管理が必要になり、運用負担が大きく増えます。週に数回の簡単な集計には複雑すぎる構成で、クラスターの起動待ちと費用も発生します。

全体的な説明

問われている要件

  • 1 日約 40 万件の JSON 形式の購買イベントログを S3 から分析すること
  • 週に数回、簡単な集計クエリを実行するだけで足りること
  • 既存の S3 ベースの構成を大きく変更しないこと
  • インフラの運用負担を最小限に抑えること

前提知識

Amazon Athena の特徴は次のとおりです。

  • サーバーレスの対話型クエリサービスで、サーバー管理が不要です
  • S3 上のデータを直接クエリでき、データの移行が不要です
  • JSON、CSV、Parquet、ORC など複数の形式に対応します
  • 標準 SQL でクエリを実行できます
  • スキャンしたデータ量に応じた従量課金です

Amazon Redshift の特徴は次のとおりです。

  • 大規模な分析に強いデータウェアハウスです
  • データのロードとクラスターの運用が必要です
  • 継続的な分析ワークロードに向きます

Amazon OpenSearch Service の特徴は次のとおりです。

  • ログの全文検索や可視化に強みがあります
  • 取り込んでインデックス化する構成が基本で、S3 をダイレクトクエリする場合もドメインは必要です
  • ドメイン(クラスター)の運用が発生します

AWS Glue と Amazon EMR の特徴は次のとおりです。

  • 複雑な変換や大規模なバッチ処理に向きます
  • カタログとクラスターの管理が必要です
  • 軽い集計には過剰です

解くための考え方

要件の中心は「週に数回の軽い集計」と「最小限の運用負担」です。この組み合わせは、サーバーレスで従量課金のサービスが適していることを示しています。

次にデータの置き場所に注目します。ログはすでに S3 にあり、そこから直接クエリできる構成が、既存構成への変更を最小にします。移行や取り込みを伴う選択肢はこの点で劣ります。

運用負担の観点では、クラスターを抱える Redshift、OpenSearch、EMR はいずれも継続的な管理が必要です。Athena はサーバーレスで、実行したクエリのスキャン量だけが課金されるため、最も負担が小さくなります。

アーキテクチャ図の解説

アーキテクチャ図

Athena がデータを S3 に置いたままクエリします。担当者は Management Console や CLI、SDK から Athena へ SQL を送り、Athena はあらかじめ作成しておいたテーブル定義(スキーマ)を AWS Glue Data Catalog から参照しながら、S3 上の JSON ログを直接読み取って集計します。結果はクエリを送った画面に返り、必要に応じて Amazon QuickSight(現 Amazon Quick Sight)で可視化できます。データを取り込むための前段が存在しないため、分析したいタイミングだけ計算リソースが動きます。もしログを Redshift や OpenSearch へ移してから分析する構成にすると、日々増えるログの取り込みパイプラインの構築とクラスターの運用が常時必要になり、週に数回の軽い集計に対して費用と手間が過剰になります。

コストと性能の考慮事項

Athena はスキャンしたデータ量に応じた従量課金のため、週に数回の集計に対して費用効率が高くなります。性能を高めるには、JSON データを日付などでパーティション分割し、頻繁に参照する列を Parquet 形式へ変換して圧縮する方法が有効です。

他のソリューションとの比較

Redshift は継続的な大規模分析に向き、OpenSearch は全文検索とダッシュボードに向きます。EMR と Glue の組み合わせは複雑な変換処理に適しています。いずれも取り込みやクラスター運用を伴うため、S3 上のデータを週に数回軽く集計する用途では Athena が要件との釣り合いが取れています。

参考資料

目次

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