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第3章「現在の生成AI(ジェネレーティブAI)の動向」は、2026年2月のシラバス改訂で最も中身が入れ替わった章です。RAG、チャンク、ベクトルデータベース、AIエージェント、MCP、Veo3といった用語が、このタイミングでまとめて追加されました。
ここで気をつけたいのが教材の古さです。改訂前に作られた参考書や問題集には、この章の新しい項目がそもそも載っていません。「参考書を一周したのに、模擬試験で見たことのない用語が出てきた」という場合、原因はたいていここです。
この記事では、第3章の範囲を「生成AIで作れるもの」「ディープフェイク」「RAG」「AIエージェント」の4つに分け、それぞれ試験で問われる形まで整理します。筆者は普段、AIエージェントに作業を任せる形で開発と教材制作を進めていて、RAGやMCPは実際に動かしている側の道具です。その経験から、試験の言葉と実務の言葉をつなぐ形で書いています。
この記事でわかること
- 生成AIの5つの種類と、代表的なサービス名の対応
- 画像生成AIの学習前処理(リサイズ・正規化・データの水増し)の違い
- ディープフェイクの仕組みと、試験で問われる「正しい対処」の型
- RAGの流れを準備と回答の2段階で理解する方法
- RAGとファインチューニングの使い分け(最頻出の対比)
- AIエージェントの動き方、MCPが解決する課題、権限と人の確認
- 第3章の形式に合わせた例題3問と解説
この記事は、生成AIパスポート試験の全範囲を章別にまとめたシリーズの第3章です。
▶ 生成AIパスポート 第2章「生成AI」の要点|VAE・GAN・Transformer・ChatGPTの系譜
第3章で問われるのは「何を使えば目的を達せられるか」
第3章は4つの中項目に分かれます。第1章・第2章が用語の定義を問う章だったのに対し、第3章は場面を読んで手段を選ぶ形の出題が増えます。
クラウド各社のAI入門資格を持っている方にとって、この章は半分だけなじみのある範囲です。筆者がAWSのAI Practitioner(AIF-C01)を取ったあとで受けたときは、RAG・AIエージェント・MCPはそのまま説明できる状態になっていました。一方で、ディープフェイクと、Veo3・GenSpark・Manusといったサービス名は、AWS側にもAzureのAI-900にも出てこなかったので、ここだけを別に埋めています。AI-900だけで来た方は、RAGもMCPも範囲外なので、この章はまるごと新しい範囲になります。
中項目ごとの出題のされ方
| 中項目 | 主な用語 | 問われ方 |
|---|---|---|
| 生成AIが出来ることと主なサービス | テキスト/画像/音楽/音声/動画生成AI、リサイズ、正規化、データの水増し、リマスタリング、Sora、Veo3 | 種類と出力の対応/前処理の名前 |
| ディープフェイク技術 | ディープフェイク、偽情報(ディスインフォメーション) | 仕組み/被害の例/正しい対処を選ぶ |
| RAG | RAG、チャンク、ベクトルデータベース | 仕組み/ユースケース/ファインチューニングとの使い分け |
| AIエージェント | AIエージェント、GenSpark、Manus、Skywork AI、MCP | 動き方/ツール名/権限と人の確認 |
第3章を解く軸は「モデルの中身を変えるか、外から材料を渡すか」
第3章の中心にあるのはRAGです。そして、RAGがらみの問題はほぼすべて、次の1つの軸で切れます。
軸:モデルの重みを変える話か、モデルの外から材料を渡す話か。
ファインチューニングは前者(重みを変える追加学習)、RAGは後者(重みは変えず、検索した文書を渡す)です。問題文に「モデルの再学習は行わない」「文書が頻繁に更新される」といった条件が入っていたら、それはRAGを選ばせるための誘導です。
もう1つ、AIエージェントの問題には別の軸があります。取り消しにくい操作の前に人が確認するかです。この章の「適切な進め方を選びなさい」という問題は、ほぼ例外なく「人が確認する」を含む選択肢が正解になります。
生成AIで作れるもの5種類と、学習の前処理
5つの種類と代表サービスを1枚で
生成AIは、出力の種類で分けられます。シラバスで扱うのは5つです。
図:生成AIの5つの種類と、それぞれの入力・出力、代表的なサービス名。試験では「文章を伝えると〜を作り出すAI」という説明から種類を選ぶ形と、サービス名から提供企業を選ぶ形の両方が出ます。
| 種類 | できること | 試験で挙がるサービス |
|---|---|---|
| テキスト生成AI | 文章の要約や翻訳、新しい文章の生成 | ChatGPT、Gemini、Claude、Copilot |
| 画像生成AI | 作りたい絵の内容を文章で伝えると、その内容に沿った静止画を作る | Image Generation |
| 音楽生成AI | 曲の雰囲気・長さ・使いたい楽器を文章で伝えると、条件に合う曲を作る | — |
| 音声生成AI | 入力した文章を、指定した声色や話し方で読み上げた音声にする | — |
| 動画生成AI | 場面の様子やカメラの動きを文章で指定すると、動きのある映像を作る | Sora(OpenAI)、Veo3(Google) |
SoraはOpenAI、Veo3はGoogleという対応は頻出です。さらにVeo3には「映像だけでなく、せりふや環境音も合わせて生成できる」という特徴があり、これが単独で問われます。「Googleが開発した、映像と音声を合わせて作り出す動画生成AI」と書かれていたらVeo3です。
音声生成AIでは、「十数秒ほどの録音と読み上げたい文章を入力すると、録音された人によく似た声で読み上げさせられる」という説明が出ます。これは次のディープフェイクの話に直結するので、覚えておいてください。
学習の前処理4つを取り違えない
画像を扱うAIの学習では、手元の画像をそのまま使わず、いくつかの処理を加えます。似た言葉が4つ並ぶので、表で分けます。
図:リサイズ・正規化・データの水増し・リマスタリングの違い。前の3つは学習の準備で行う処理、リマスタリングは生成AIの用途の1つで、学習の前処理ではありません。
| 用語 | 何をするか | 目的 |
|---|---|---|
| リサイズ | 大きさがまちまちな写真の縦横の寸法を、同じ大きさにそろえる | モデルが受け取れる形に統一する |
| 正規化 | 0から255までの範囲をとる画素の値を、0から1のような決まった範囲にそろえる | 値の大きさを扱いやすい範囲に収める |
| データの水増し(augmentation) | 既存の画像を回転・反転・拡大縮小するなどして変形し、少しずつ異なる学習用の画像を作る | 学習用の例の数を増やす |
| リマスタリング | 画質が粗くなった昔の映像を、細部を補いながら現在の画質で見られる状態に直す | 既存の作品を現代の品質へ |
寸法をそろえるのがリサイズ、数値の範囲をそろえるのが正規化。 ここが最も取り違えやすいところです。「0から255」「0から1」という数値が問題文に出てきたら正規化、「縦横の寸法」「大きさ」とあればリサイズです。
データの水増しを手法全体としてまとめて指すときはデータ拡張技術という言い方もします。どちらの言葉でも出題されます。
ディープフェイクは「仕組み」より「対処」が問われる
ディープフェイクの仕組み
ディープフェイク(深層偽造)技術は、実在する人物の顔や声の特徴をAIに学習させ、その人物が実際には行っていない言動をしているように見える映像や音声を作り出す技術です。技術的にはGANやVAEが使われます。
図:上が作られる仕組み。実在する人物の顔や声を学習し、別の映像や音声に重ね合わせます。下が試験で問われる対処。見た目の不自然さで判断するのではなく、公式発信・報道・別の連絡手段という「外側」で裏を取るのが正解の型です。
偽情報(ディスインフォメーション)は、誤りであると知りながら、人をだましたり損害を与えたりする目的で意図的に作られ、広められる虚偽の情報です。「意図的に」「だます目的で」という部分が定義の核です。単なる勘違いで広まった誤情報(ミスインフォメーション)とは区別されます。
生成AIの普及によって状況が変わった点として問われるのは、「もっともらしい文章や画像を、専門的な技術がなくても短時間で大量に作れるようになった」ことです。技術の高度化ではなく、作れる人の裾野が広がったことが答えになります。
被害の例と、試験が求める「正しい対処」
ディープフェイクの悪用による被害として挙がるのは次のような例です。
- 有名人が商品を勧めているかのような偽の広告動画が作られ、視聴者が詐欺に誘い込まれる
- 経営者になりすました映像や音声で担当者に指示を出し、送金させる
- 海外の選挙の前に、要人の声を模した偽の音声が拡散し、投票行動に影響を与えようとする
そして、この中項目で最も出題されやすいのが「不適切なものを1つ選びなさい」「取るべき行動を2つ選びなさい」という形の、対処を問う問題です。ここには明確な型があります。
不正解になるのは「映像そのものを目で見て判断する」という対処です。 たとえば「動画を拡大して、まばたきや口の動きと声のずれを確かめ、不自然な点がなければ本物と判断する」という選択肢。これは一見まともに見えますが、ディープフェイクは年々精巧になっており、高度に進化したものはAI技術をもってしても見分けられないことがあるというのが公式サンプル問題でも示されている前提です。目視の確認だけで本物と結論づける行動は、常に誤りの選択肢になります。
正解になるのは、映像の外側で裏を取る行動です。
- その著名人や関係する企業が公式に発信している情報を確認する
- 同じ内容を報じている報道機関や公的機関の情報があるかを照らし合わせる
- 映像や音声で送金や契約を求められたら、登録済みの連絡先にかけ直して確かめる
3つ目は、第4章で出てくるソーシャルエンジニアリング攻撃への対処とまったく同じ考え方です。「送られてきた連絡先ではなく、自分が知っている正規の連絡先にかけ直す」というのは、この試験全体を通じて何度も出てくる型なので、ここで覚えておくと第4章が楽になります。
RAG:モデルを学び直させずに、新しい情報を使わせる
第3章で最も出題数が多いのがRAGです。仕組み・ユースケース・ファインチューニングとの比較の3方向から問われます。
RAGの流れは「準備」と「回答」の2段階
RAG(Retrieval-Augmented Generation、検索拡張生成)は、生成AIが回答を作る前に、関連する文書を検索し、見つかった内容を渡してから答えを生成させる手法です。Retrievalが検索、Augmentedが補強、Generationが生成を指します。
図:上の段が準備(事前に1回)。文書をチャンクに分け、意味を表す数値の並びに変換してベクトルデータベースに保存します。下の段が回答(質問が来るたび)。質問と意味の近いチャンクを探し、質問に添えてモデルへ渡し、答えを作らせます。モデルの重みは一切変わりません。
用語は2つだけ押さえます。
- チャンク:長い文書を、意味のまとまりごとに区切った一片。検索しやすい大きさに分けたもの
- ベクトルデータベース:文章の意味を表す数値の並び(埋め込みベクトル)と、その元になった文書を組にして保存し、意味の近いものを探せるようにした仕組み
ベクトルデータベースを使う利点として問われるのが、「キーワードが完全に一致しなくても見つけられる」ことです。その理由は「文書と質問をそれぞれ数値の並びに変換して保存し、その数値どうしの近さで探すから」です。「有給休暇」で検索したときに「年次有給」と書かれた文書も見つかる、という動きになります。
RAGの成り立ちも問われます。2020年に、研究者らが論文の中で、文書の検索と文章の生成を組み合わせる手法として提案したのが始まりです。年号は2020年です。
RAGとファインチューニングの使い分けが最頻出
この章で最も繰り返し問われるのが、RAGとファインチューニングの使い分けです。
図:ファインチューニングはモデルの中身(重み)を書き換えます。RAGはモデルには触れず、外から資料を渡します。文書が頻繁に更新される場面では、更新のたびに学習し直す必要のないRAGが向きます。
| RAG | ファインチューニング | |
|---|---|---|
| モデルの重み | 変えない | 変える(追加学習) |
| 情報の更新 | 参照する文書を差し替えるだけ | 更新のたびに学習し直す |
| 向く場面 | 社内規程・製品カタログなど、改訂される文書に沿って答えさせたい | 特定の文体や形式で答えさせたい |
| 根拠の提示 | どの文書のどの部分を使ったか示せる | 示せない |
問題文に次のような条件があれば、RAGを選ばせる誘導です。
- 「モデルの再学習は行いません」
- 「カタログは新製品が出るたびに更新されます」
- 「規程集は年に数回改訂されます」
- 「社内規程など、公開されていない文書の内容に沿って答えさせたい」
RAGが回答の根拠を示せる理由も問われます。答えは「回答の前に文書を検索しており、モデルに渡した箇所がどこかを記録として残せるから」です。モデルの中で混ぜ込まれてしまうファインチューニングとは、ここが決定的に違います。
筆者は生成AIの開発案件そのものを手がけたことはなく、RAGという言葉は資格の学習で先に覚えました。それでも、社内に「社内文書を読み込ませたチャットシステムを作りたい」という引き合いが来たときに、話の中身がそのまま分かったのは、この用語を先に入れていたからです。入門資格で手に入るのは、作れる技術ではなく、人の話を聞いたときに引っかかる観点のほうだと思います。
RAGが向くユースケース
試験で正解になるユースケースは、ほぼ次の形に集約されます。
- 更新され続ける社内マニュアルの内容を踏まえて、チャットボットに答えさせる
- 年に数回改訂される社内規程集をもとに、従業員の質問へ自動で答える
- 新製品が出るたびに更新される製品カタログを踏まえて、サポート窓口のチャットボットに答えさせる
共通するのは「組織の外には公開されていない文書」で「更新される」ことです。モデルが学習時に見たはずのない情報だから、外から渡す必要がある、という理屈です。
AIエージェント:目標を渡すと、手順を自分で組み立てる
AIエージェントの動き方
AIエージェントは、目的を与えられると、ツールの使い方や手順を自ら選び、結果を見ながら行動を進める仕組みです。
図:目標を受け取る→手順を組み立てる→ツールを実行する→結果を確認する→次の行動を決める、というループを回します。対話だけを行う生成AIが1回の応答で終わるのに対し、エージェントはこのループを目標が達成されるまで繰り返します。
対話だけを行う生成AIと比べてできることとして問われるのは、次の2つです。
- 与えられた目標を、実行できる大きさの手順に自分で分けて順に進める
- 検索やファイル操作などの外部ツールを呼び出し、結果を次の判断に使う
また、RAGとの違いも問われます。「RAGは回答に使う情報を補い、AIエージェントは手順を組み立てて作業を進める」という切り分けです。情報を足すのか、作業を進めるのか、という違いで覚えてください。
筆者は、人間がコードを書かず、設計・レビュー・実装・テストの工程ごとに役割を分けたAIエージェントに作業を任せる開発プロジェクトを運営しています。やってみて分かったのは、エージェントを増やすと作業量は確かに増えるのに、ボトルネックが実装からレビューへ丸ごと移るということでした。AIが書いたものは、間違っていても体裁が整っているので、読み流すと通ってしまいます。試験で繰り返し問われる「人が確認する」は、精神論ではなく、実際にここが詰まるから出てくる話です。
▶ 「人間がコードを書かない」開発プロジェクトを運営してわかったこと
ツール事例3つ:GenSpark・Manus・Skywork AI
シラバスに名前が挙がっているサービスは3つです。それぞれ得意分野が違う形で出題されます。
| サービス | 試験で問われる説明 |
|---|---|
| GenSpark | 利用者が調べたい内容を伝えると、情報収集から資料の作成までをエージェントとして自動で進める |
| Manus | 利用者が目標を伝えると、Web上の調査や資料の作成などを自ら計画し、複数の手順を実行して成果物を仕上げる汎用のAIエージェント |
| Skywork AI | 指示を受けてスライドや文書などの資料を自動で作り上げる |
3つとも「資料を作る」点が重なるため、問題では単に「AIエージェントのサービスに該当するものを2つ選びなさい」と聞かれ、3つのうち2つが正解になる形が多く見られます。この3つの名前を覚えておき、それ以外のサービス名(テキスト生成AIやクラウドサービスの名前)を外すという解き方で十分です。
MCP:つなぎ方をそろえるための共通規格
MCP(Model Context Protocol)は、AIのアプリケーションを外部のデータやツールに接続するための共通の規格です。2024年にAnthropicがオープンな規格として公開しました。
図:左がMCPがない状態。接続先ごとに専用の連携を作る必要があり、接続先が増えるほど作るものが増えます。右がMCPに沿った状態。つなぎ方が共通化されるため、接続先を増やしやすくなります。
問われるのは次の2点です。
- 解消が期待されている課題:外部のサービスとつなぐ方法が、相手ごとにばらばらであること
- 利点:つなぐ相手ごとに専用の連携を作る手間が減り、接続先を増やしやすくなる
提唱企業がAnthropicである点も単独で問われます。Claudeを提供している企業、として第2章の知識とつながります。
権限と確認:この章の「安全側」の答え
AIエージェントに業務を任せるときの考え方を問う問題は、第3章の中でも繰り返し出ます。正解の形は毎回同じです。
- 送金や社外へのメール送信など、取り消しにくい操作の前には人が確認してから進める
- 与える権限を必要な範囲に絞り、支払いの確定など影響の大きい操作の前に人が確認する
- 人が担い続けるべき役割は、任せる範囲と権限を決め、影響の大きい操作の前に内容を確かめて実行を認めること
不正解になるのは「すべて自動で実行させて効率を上げる」「エージェントの判断を信頼して確認を省く」「権限は広く与えておく」といった方向の選択肢です。権限は絞る、取り消しにくい操作の前に人が確認する。 この2つを唱えられるようにしておけば、この手の問題は落としません。
「権限を絞る」が試験でわざわざ問われるのは、放っておくと逆に振れるからです。筆者がAIにクラウドのインフラ設定を書かせたときは、高い確率で「すべての操作を、すべての対象に許可する」という最大限に広い権限が出てきました。悪意があるわけではなく、権限が足りずにエラーで止まると困るから全部通しておく、という無邪気な親切心です。法令で保存が義務づけられた記録を扱う案件だったので、そのまま通していたら目も当てられないことになっていました。AIは「安全側に倒す」という判断を、言われない限りしてくれません。だから人間が範囲を決める側に残る必要があります。
第3章の形式に合わせた例題3問
例題1:手段を選ばせる問題
問題: ある製造業の会社で、取引先ごとに異なる品質基準の文書をもとに、問い合わせへ自動で回答させる仕組みを検討しています。基準の文書は取引先の都合で随時改訂されます。モデルの学習をやり直すことはできません。この目的に合う方法を1つ選びなさい。
- 基準の文書をすべて使ってモデルをファインチューニングする
- 文書を小さな塊に分けて蓄え、質問に関係する箇所を検索してから回答させる
- プロンプトに「最新の品質基準に沿って答えてください」と書き加える
- Temperatureを下げて、確率の高い語に寄せて答えさせる
答え:2
「随時改訂される」「学習をやり直せない」という2つの条件が、RAGを選ばせる誘導です。1は改訂のたびに学習し直すことになり条件に反します。3は指示の一文を足しているだけで、改訂後の文書の中身はモデルに渡っていません。4のTemperatureは出力のばらつきを調整する値で、モデルが使える情報を増やす仕組みではありません。
例題2:対処を選ばせる問題
問題: 経理担当者のもとに、役員の顔と声で「至急この口座へ振り込んでほしい」と指示する動画メッセージが届きました。ディープフェイクの可能性を考えたときの対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 動画を拡大し、口の動きと声にずれがなければ本人と判断して処理する
- 動画に添えられていた連絡先に電話をかけ、本人かどうかを確かめる
- 社内の連絡網に登録されている役員の番号にかけ直し、指示の有無を確かめる
- 急ぎの指示なので、先に振り込んでから後で確認する
答え:3
正しいのは、映像の外側で、自分が知っている正規の連絡先を使って裏を取る行動です。1は目視での判断で、精巧なディープフェイクには通用しません。2は相手が用意した連絡先なので、なりすましの側につながる可能性があります。4は取り消しにくい操作を確認前に行っており、最も避けるべき行動です。
例題3:用語の切り分け
問題: AIのアプリケーションを外部のデータやツールに接続するための共通の規格として、2024年にAnthropicがオープンな形で公開したものに該当するものを1つ選びなさい。
- RAG
- MCP
- ベクトルデータベース
- ファインチューニング
答え:2
外部のデータやツールとつなぐための共通規格はMCP(Model Context Protocol)です。RAGは文書を検索して回答に使わせる手法、ベクトルデータベースはその検索に使うデータの保存先、ファインチューニングは追加学習の手法で、いずれも「接続のための規格」ではありません。提唱企業がAnthropicである点も合わせて覚えてください。
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本番と同じ60問・60分の模擬試験を6回分、全360問。全問を2026年シラバスから書き下ろし、RAG・AIエージェント・MCP・AI新法といった追加範囲も含めています。正解・不正解を問わず全選択肢に解説をつけているので、間違えた理由がその場で分かります。
当ブログ限定クーポン:通常 2,600円 → 1,500円
よくある質問
Q. 手元の参考書にRAGやAIエージェントの章がありません。
2026年2月適用のシラバスで追加された範囲なので、それ以前に作られた教材には載っていません。公式サイトで最新のシラバスを確認し、不足している項目をこの記事のような形で補ってください。第3章はシラバス改訂の影響を最も強く受ける章です。
Q. RAGを実際に作れるレベルまで理解する必要がありますか?
ありません。試験で問われるのは「文書をチャンクに分けてベクトルデータベースに保存し、質問に近い箇所を検索して渡す」という流れと、ファインチューニングとの使い分けだけです。埋め込みモデルの選び方やチャンクの分割サイズといった実装の話は範囲外です。
Q. GenSpark・Manus・Skywork AIは、どれがどれだか覚えられません。
3つの名前を「AIエージェントのサービス」としてまとめて覚えるだけで、多くの問題は解けます。個別の違いが問われる場合は、Skywork AIが「スライドや文書などの資料を作る」、GenSparkが「調べたい内容を伝えると情報収集から資料作成まで進める」、Manusが「汎用」という方向で押さえてください。
Q. ディープフェイクの問題で、毎回選択肢に迷います。
「映像や音声そのものを見て本物かどうかを判断する」という方向の選択肢は、必ず不正解だと考えてください。正解は常に、公式発信・報道機関・登録済みの連絡先といった、映像の外側にある情報源で裏を取る行動です。
まとめ
- 第3章は2026年2月シラバス改訂で中身が大きく入れ替わった章。古い教材には載っていない項目がある
- 生成AIの種類は5つ。動画生成AIはSora(OpenAI)とVeo3(Google)。Veo3は映像と音声を合わせて作れる
- 前処理は、寸法をそろえるリサイズ、値の範囲をそろえる正規化、枚数を増やすデータの水増しの3つで区別する
- ディープフェイクの問題は「目視で判断する」が不正解、「外側で裏を取る」が正解という型が固定されている
- RAGは準備(チャンク化してベクトルデータベースへ)と回答(検索して渡す)の2段階。モデルの重みは変えない
- 「再学習しない」「文書が更新される」という条件が出たらRAG。ファインチューニングは重みを変える側
- AIエージェントは目標→手順→ツール実行→結果確認のループ。MCPは接続方法を共通化する規格(Anthropicが2024年に公開)
- 権限は絞る、取り消しにくい操作の前に人が確認する。この2点がエージェント関連の問題の正解の型
次の章では、生成AIを使ううえでの法律と倫理を扱います。個人情報保護法、著作権、AI社会原則、そして2025年に公布されたAI新法までが範囲です。
▶ 生成AIパスポート 第4章「情報リテラシーとAI社会原則」の要点|個人情報保護法・著作権・AI新法
前の章はこちらです。
▶ 生成AIパスポート 第2章「生成AI」の要点|VAE・GAN・Transformer・ChatGPTの系譜
試験の概要や、5章全体の学習の進め方は親記事にまとめています。
▶ 生成AIパスポート試験の出題範囲を章別に学ぶ|5章まとめと学習ロードマップ
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システムエンジニア
AWSを中心としたクラウド案件に携わっています。
IoTシステムのバックエンド開発、Datadogを用いた監視開発など経験があります。
IT資格マニアでいろいろ取得しています。
AWS認定:SCS, ANS, AIP, SAP, DOP, SAA, DVA, SOA, CLF
Azure認定:AZ-104, AZ-300
ITIL Foundation
Oracle Master Bronze (DBA)
Oracle Master Silver (SQL)
Oracle Java Silver SE
■略歴
理系の大学院を卒業
IT企業に就職
AWSのシステム導入のプロジェクトを担当
