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問題文:
ある企業は AWS Organizations 配下の全アカウントで Amazon GuardDuty を有効にし、セキュリティ監視の基盤として運用しています。
この企業の VPC 内では、在宅勤務者が社内システムへ接続するための RDP ゲートウェイを Amazon EC2 インスタンス上で運用しており、多数の従業員がそれぞれ異なる回線から接続しています。 しかし GuardDuty はこの接続パターンを「ブルートフォース攻撃」と判定し、同じ種類の検出結果を大量に生成し続けています。
SOC チームは該当する検出結果を誤検知と判断して毎朝手作業で片付けていますが、翌日には同じ条件の検出結果が新たに積み上がっています。 セキュリティエンジニアは、調査に必要な記録を残したまま、通知の量を減らし、対応すべきアラートだけが目に入る状態にする必要があります。
この要件を満たすには、どの解決策を導入すべきでしょうか?

選択肢:
A. 在宅勤務者の接続元となる IP レンジをまとめて信頼済み IP リストに登録し、GuardDuty のディテクターへ適用する。

B. 対象リージョンの GuardDuty ディテクターを一時停止し、SOC が VPC フローログと認証ログを手動で確認する運用へ切り替える。

C. 対象リージョンの GuardDuty ディテクター設定で、RDP ブルートフォースの検出タイプを個別に無効化する。

D. GuardDuty の抑制ルールを作成し、検出タイプと対象リソース ID に一致する新しい検出結果を自動でアーカイブする。

正解:D

A. 在宅勤務者の接続元となる IP レンジをまとめて信頼済み IP リストに登録し、GuardDuty のディテクターへ適用する。

不正解 信頼済み IP リストは、登録したパブリック IP に関する検出結果をそもそも生成させないための機能です。接続元は多数の家庭回線に分散し、その多くは動的に割り当てられるため、網羅的に登録することはできず誤検知は残り続けます。仮に登録できたとしても、そのアドレスに関する検出は全面的に止まるため、同じ回線から実際の攻撃が来た場合にも記録が残らず、要件に反します。

B. 対象リージョンの GuardDuty ディテクターを一時停止し、SOC が VPC フローログと認証ログを手動で確認する運用へ切り替える。

不正解 ディテクターを一時停止すると、その期間は対象リージョンで検出結果が一切生成されず、本物の攻撃も記録されません。停止中に発生した事象を後から遡って検出することもできないため、記録を残すという要件を満たせません。手動でのログ確認は運用負荷が高いうえ、脅威インテリジェンスと機械学習に基づく判定も利用できなくなります。

C. 対象リージョンの GuardDuty ディテクター設定で、RDP ブルートフォースの検出タイプを個別に無効化する。

不正解 GuardDuty のディテクター設定には、特定の検出タイプだけを個別に無効化するオプションはありません。無効化の単位は Runtime Monitoring や Malware Protection といった保護プランであり、CloudTrail・VPC フローログ・DNS ログという基盤のデータソースを止めることもできません。加えて、検出そのものを止める方針は本物のブルートフォース攻撃も見逃すことにつながり、調査に必要な記録を残すという要件に反します。

D. GuardDuty の抑制ルールを作成し、検出タイプと対象リソース ID に一致する新しい検出結果を自動でアーカイブする。

正解 抑制ルールは、検出タイプやリソース ID などの条件を指定し、一致する新しい検出結果を生成時に自動でアーカイブする機能です。アーカイブされた検出結果は削除されず 90 日間保持され、コンソールのアーカイブ済み一覧や ListFindings API から参照できるため、調査に必要な記録は残ります。条件に一致しない検出結果はこれまでどおり通知されるため、本物の脅威の検知を止めずにノイズだけを減らせます。

全体的な説明

問われている要件

  • GuardDuty が正常な RDP 接続をブルートフォース攻撃として誤検知している状況を解消すること
  • 調査や監査に使う検出結果の記録を失わないこと
  • 誤検知による通知量を減らし、対応が必要なアラートだけが残る状態にすること
  • 実際のブルートフォース攻撃など本物の脅威は引き続き検知できること
  • 手動対応ではなく、条件に一致した検出結果を自動的に処理できる仕組みであること

前提知識

Amazon GuardDuty について

  • AWS のマネージド型脅威検出サービスで、CloudTrail イベント、VPC フローログ、DNS ログなどを機械学習と脅威インテリジェンスで継続的に分析し、不正アクセスや異常な振る舞いを検出結果(Finding)として報告します。エージェントの導入は不要で、有効化するだけで利用できます。
  • 基盤となるデータソースを個別に止める設定や、検出タイプ単位で検出を無効化する設定はありません。無効化できるのは保護プランの単位です。

抑制ルール(Suppression Rule)について

  • 検出タイプ、API 発信元 IP アドレス、インスタンスイメージ ID、タグなどの条件を指定し、一致する新しい検出結果を生成時に自動でアーカイブする機能です。
  • アーカイブされた検出結果は削除されず 90 日間保持され、コンソールのアーカイブ済み一覧や ListFindings API から参照できます。一方で Security Hub CSPM・EventBridge・S3 エクスポート・Detective には送られないため、下流の通知だけを止められます。
  • マルチアカウント環境では、GuardDuty 管理者アカウントだけが抑制ルールを作成できます。

信頼済み IP リストと脅威 IP リストについて

  • 信頼済み IP リストは、登録した IP アドレスに関する検出結果を生成させない機能です。有効化できるのは 1 アカウント・1 リージョンにつき 1 件だけで、Route 53 の DNS クエリログに由来する検出結果には適用されません。
  • 脅威 IP リストはその逆で、登録した IP アドレスを悪意のある送信元として扱い、検出結果を生成させる機能です。同じ単位で最大 6 件まで登録できます。
  • どちらもパブリックにルーティング可能な IP アドレスを宛先とする通信が対象であり、登録した IP に関する検出は全面的に変化します。

図による解説

アーキテクチャ図

GuardDuty の出力そのものを止めるのではなく、出力された後段で誤検知だけを仕分けます。多数の在宅拠点から EC2 RDP ゲートウェイへ届く正常な業務トラフィックは①大量の接続として GuardDuty へ渡り、②誤検知の系統ではブルートフォース攻撃と判定された検出結果が生まれます。ここで抑制ルールが③条件で照合し、検出タイプとリソース ID に一致したものだけを④自動アーカイブへ流すため、アーカイブ済みとして 90 日間保持され調査時に参照できます。他の異常は分岐した先で本物の脅威としてアクティブなアラートに残り、抑制ルールの影響を受けません。検出自体を止める設計に置き換えると、この分岐の先ごと失われ、認証情報の悪用も記録されなくなります。

アーキテクチャ図

同じ誤検知対策でも、条件に使える対象が何かで適用可否が決まります。外部通信元の系統では外部クライアント IP が家庭回線で動的に変化し網羅的な登録が困難であるうえ、信頼済み IP リストは登録できる範囲がパブリック IP に限られ、1 アカウント 1 リージョン 1 件しか持てません。しかも働き方は検出を止める方向で、登録した相手からの本物の攻撃まで残らなくなります。内部リソースの系統では EC2 RDP ゲートウェイという VPC 内インスタンスをリソース ID で識別できるため、抑制ルールが条件ベースで一致分を退避させ、誤検知をフィルタできます。接続元 IP で絞る方針を採ると登録漏れが残って誤検知は減らず、検知の穴だけが増えます。

解くための考え方

誤検知による通知を減らしつつ、調査に必要な記録は残す必要があります。 最初に、検出タイプそのものを無効化する方法を考えると、GuardDuty には検出タイプ単位で検出を止める設定がなく、保護プラン単位で止めれば同じデータソースに基づく他の検出も一緒に失われます。仮に止められたとしても本物のブルートフォース攻撃を見逃すため、記録を残すという要件に反します。 続いて、信頼済み IP リストの利用を検討すると、この機能は登録したパブリック IP に関する検出結果を生成させないものです。接続元が多数の家庭回線に分散し動的に変わる状況では網羅的な登録が現実的ではなく、登録できた分についても検出が全面的に止まるため要件に合いません。 ディテクターの一時停止は、停止期間中の事象が一切記録されず、後から遡って検出することもできないため、最も避けるべき対応です。 残る抑制ルールは、検出タイプや対象リソースなどの条件を指定して、一致する新しい検出結果を自動的にアーカイブする機能です。アーカイブされた検出結果は 90 日間保持され、コンソールや API からいつでも参照できる一方、下流の連携先には送られないため通知だけが静かになります。 「アラートを消す」のではなく「アラートを整理して残す」のが切り分けです。誤検知対応の標準機能である抑制ルールの作成が正解です。

参考資料

目次

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