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「IaaS、PaaS、SaaSの3つの言葉は聞いたことがあるけれど、説明しろと言われると自信がない」「参考書の図は理解できた気がするのに、問題になると選択肢を絞れない」という方は多いのではないでしょうか。
クラウドプラクティショナー(CLF-C02)では、この3つを「用語の定義」として問うことはあまりありません。代わりに「顧客がOSのパッチ管理から解放されるのはどのサービスか」「ハードウェアの管理はAWSが行い、OSから上を顧客が管理するのはどれか」のように、責任共有モデルとAWSサービスに結びつけた形で出題されます。つまり、3つの言葉の意味を覚えるだけでは足りず、「どこまでを自分が管理するのか」という線が引けるようになる必要があります。
この記事では、オンプレミスのサーバー構築からキャリアを始めてAWSへ移り、現在はAWS認定を全種類取得してCLF問題集を作っている筆者が、IaaS・PaaS・SaaSの違いを1つのたとえで整理し、試験で問われる形まで落とし込んで解説します。
この記事でわかること
- IaaS・PaaS・SaaSの違いを、賃貸物件のたとえで一度で理解する方法
- 責任共有モデルの「線」と、マネージドサービス・サーバーレスとの関係
- AWSの主要サービスがIaaS・PaaS・SaaSのどれに当たるか
- CLF-C02形式の例題3問と、セットで問われるクラウドのデプロイモデル
IaaS・PaaS・SaaSは「どこまで自分で用意するか」の違い
3つの言葉は、クラウド事業者から借りるものの範囲を表しています。難しい定義から入るよりも、まず1つの日常のたとえで全体をつかむのが早道です。
賃貸物件のたとえで3つを一度に理解する
IaaS・PaaS・SaaSは、住まいを「土地だけ借りる」「建物付きで借りる」「家具家電付きで借りる」の違いだと考えると、3つの関係が一度で頭に入ります。
住まいを手に入れる方法にはいくつかの段階があります。土地を買って自分で家を建てるのが「持ち家」です。次に、土地だけを借りて建物は自分で建てる「借地」があります。さらに、建物ができている「普通の賃貸」があり、家具や家電まで揃っている「家具家電付き賃貸」があります。右にいくほど自分で用意するものが減り、その代わりに自由に変えられる範囲も減ります。
この段階を、そのままクラウドの言葉に置き換えると次のようになります。
| 住まいのたとえ | クラウドの言葉 | 自分で用意するもの | 事業者が用意するもの |
|---|---|---|---|
| 持ち家(土地を買って建てる) | オンプレミス | 土地から家具まで全部 | なし |
| 借地(土地だけ借りる) | IaaS | 建物、内装、家具家電 | 土地 |
| 普通の賃貸(建物付き) | PaaS | 内装、家具家電 | 土地、建物 |
| 家具家電付き賃貸 | SaaS | 持ち込む荷物だけ | 土地、建物、家具家電 |
ここでの「土地」がサーバーやネットワークなどのハードウェア、「建物」がOSやミドルウェア(データベースやプログラムの実行環境)、「家具家電」がアプリケーションそのもの、「持ち込む荷物」が自分のデータに当たります。
筆者は入社してしばらくオンプレミスの仕事をしていました。持ち家を建てるのと同じで、まずサーバーを買ってくるところから始まり、Linuxの設定を手作業で行い、Javaの実行環境を整えるところまで、すべて自分たちで用意する必要がありました。その後AWSのプロジェクトに移ったとき、サーバーを揃える必要がなく、構成をYAMLファイルで書けば再現性高く環境ができあがることに驚いたのを今でも覚えています。「土地を買って家を建てる」から「借りる」に変わった、というのがそのときの実感でした。
3つの正式な意味を1行ずつ押さえる
たとえで全体をつかんだら、試験の言葉に戻しておきます。それぞれの正式名称を見ると、何を借りているのかが名前に入っています。
IaaS(Infrastructure as a Service)は、サーバー、ストレージ、ネットワークといったインフラを借りる形です。OSから上は自分でインストールし、設定し、面倒を見ます。AWSでは、仮想サーバーのAmazon EC2、そのディスクであるAmazon EBS、仮想ネットワークのAmazon VPCが代表です。
PaaS(Platform as a Service)は、アプリケーションを動かす土台(プラットフォーム)まで借りる形です。OSやミドルウェアの管理は事業者が行い、自分はアプリケーションとデータだけを用意します。AWSでは、アプリをアップロードすれば環境ごと構築してくれるAWS Elastic Beanstalk、データベースをまるごと管理してくれるAmazon RDS、コードを置くだけで実行できるAWS Lambdaなどが当てはまります。
SaaS(Software as a Service)は、完成したソフトウェアそのものを借りる形です。利用者はブラウザやアプリから使うだけで、裏側の仕組みには一切関わりません。Gmail、Microsoft 365、Slack、Salesforceのように、普段の仕事で使っているツールの多くがSaaSです。AWSにも、法人向けメールのAmazon WorkMail、コールセンターをクラウドで提供するAmazon Connect、BIツールのAmazon QuickSightのように、SaaSとして使えるサービスがあります。
右にいくほど楽になり、左にいくほど自由になる
3つの違いに優劣はありません。「手間」と「自由度」を交換しているだけです。試験ではこの関係を「利点」として問われることがあるので、両方向を押さえておきます。
家具家電付き賃貸なら荷物を持って入居した日から生活できますが、キッチンの位置を変えることはできません。土地だけ借りる借地なら間取りは自由ですが、建てるところから自分でやることになります。クラウドも同じで、SaaSは導入が最も早く運用の手間もありませんが、細かいカスタマイズには限界があります。IaaSはOSの選択からミドルウェアの設定まで自由ですが、その分パッチ適用やバックアップも自分の仕事です。
CLF-C02では、「運用の負担を減らしたい」「すぐに使い始めたい」という問題文ならより右側(PaaSやSaaS)、「OSレベルの細かい制御が必要」という問題文ならより左側(IaaS)が正解になる、と考えると選択肢が整理できます。筆者がSAP(プロフェッショナル試験)の勉強をしていたときに一番効いた訓練が「問題文の中で顧客が何を大切にしているかを読み取る」ことでしたが、CLFでもこの読み方はそのまま使えます。
責任共有モデルと結びつけると試験で使える知識になる
CLF-C02の出題分野「セキュリティとコンプライアンス」(30%)の中心にあるのが責任共有モデルです。IaaS・PaaS・SaaSの理解は、この責任共有モデルと結びつけて初めて試験で使える知識になります。
責任共有モデルは「線をどこに引くか」の話
責任共有モデルとは、「クラウド本体のセキュリティ」はAWSが、「クラウド内のセキュリティ」は顧客が責任を持つ、という役割分担のことです。原文では”Security OF the Cloud”(AWS)と”Security IN the Cloud”(顧客)と表現されています。
賃貸物件でいえば、建物の耐震性や共用部分の管理は大家さんの責任で、部屋の中の戸締まりや火の用心は借り主の責任、という関係です。AWSが責任を持つのは、データセンターの建物、物理サーバー、ネットワーク機器、仮想化の仕組みといった「クラウド本体」です。顧客が責任を持つのは、自分のデータ、アクセス権限(IAM)の設定、暗号化するかどうかの判断、そしてサービスによってはOSやアプリケーションの管理です。
ここで大切なのは、この「線」の位置がサービスによって動くことです。IaaSでは線が下の方(ハードウェアのすぐ上)にあり、顧客の管理範囲が広くなります。PaaSでは線が上に上がり、SaaSではさらに上がって顧客の管理範囲はデータとアクセス権限だけになります。
図:IaaS・PaaS・SaaSごとの責任の線。オレンジが顧客の管理範囲、青がAWSの管理範囲です。右のモデルにいくほど線が上に移り、顧客の管理範囲が「データとアクセス権限」だけに絞られていきます。どのモデルでも、データとアクセス権限の管理だけは顧客の責任として残ります。
「OSのパッチは誰がやるか」が最頻出の切り口
CLF-C02でIaaSとPaaSの境目を問うとき、最もよく使われる切り口が「OSのパッチ適用は誰の責任か」です。ここだけは確実に答えられるようにしておきます。
Amazon EC2はIaaSなので、OSのパッチ適用、ミドルウェアの更新、セキュリティ設定はすべて顧客の責任です。AWSは物理サーバーと仮想化の仕組みまでを管理します。一方、Amazon RDSではAWSがOSとデータベースエンジンのパッチ適用を行います。顧客が管理するのはデータベースの中身、接続できるユーザー、バックアップの保持期間といった設定です。同じ「MySQLを動かす」でも、EC2に自分でインストールするのとRDSを使うのとで、線の位置が変わるわけです。
賃貸のたとえに戻すと、借地(IaaS)では屋根の修理は自分の仕事ですが、建物付きの賃貸(PaaS)では大家さんの仕事になる、という違いです。「屋根の修理」に当たるのがOSのパッチ適用だと考えると、問題文を読んだときに線の位置が判断しやすくなります。
筆者はこの違いを、自分のブログ運営で身をもって体験しました。ブログを立ち上げた当初は、AWSを使いたいという動機からEC2(t2.micro)でWordPressをホストしていました。これはIaaSなので、OSのアップデートもサーバーが落ちたときの復旧も自分の仕事です。記事が増えるにつれてサーバーが頻繁に落ちて検索順位が下がり、最終的に記事をすべてS3に置いてCloudFrontで配信する構成に変えました。S3はサーバーの存在を意識しないマネージドサービスなので、それ以降サーバーの面倒を見る作業はなくなり、月に数千円かかっていた費用も数百円にまで下がりました。「自分が管理する範囲を減らす」ことの意味を、費用と手間の両方で実感した出来事です。
マネージドサービスとサーバーレスはPaaS側の言葉
CLF-C02の問題文には「IaaS」「PaaS」という言葉よりも、「マネージドサービス」「サーバーレス」という言葉の方が多く登場します。この2つがIaaS・PaaS・SaaSとどう関係するかを整理しておきます。
マネージドサービスとは、AWSが運用の面倒を見てくれるサービスの総称です。OSのパッチ適用、バックアップ、障害時の復旧といった作業をAWS側が引き受けます。RDS、DynamoDB、S3、Elastic Beanstalkなどが代表です。責任の線が上にあるサービス、つまりPaaSやSaaSに近いものを指す言葉だと考えて構いません。
サーバーレスは、マネージドサービスの中でも「サーバーの存在を意識しなくてよい」ものを指します。EC2のようにインスタンスの台数やサイズを決める必要がなく、使った分だけ課金され、負荷に応じて自動的に規模が変わります。AWS Lambda、Amazon DynamoDB、Amazon S3、AWS Fargateが代表です。名前は「サーバーがない」ですが、実際にはAWSがサーバーを完全に隠してくれている、という意味です。
RDSはマネージドサービスですが、インスタンスのサイズを自分で選ぶので、通常はサーバーレスとは呼びません(Aurora Serverlessという例外はありますが、CLFでは深入り不要です)。試験で「サーバーのプロビジョニングや管理が不要」「使った分だけ支払う」「自動でスケールする」というキーワードが出たらサーバーレスを、「パッチ適用やバックアップをAWSが行う」というキーワードが出たらマネージドサービスを思い浮かべると、選択肢が絞れます。
筆者が初めてサーバーレス構成(Lambda、DynamoDB、API Gateway)を設計したとき、CodePipelineでブランチへのマージを契機に自動デプロイされる仕組みまで作りました。オンプレミスで手作業のサーバー構築をしてきた身からすると、サーバーの台数を考える必要すらないというのは新鮮な体験で、「クラウドはここまで管理を手放せるのか」と感じたことを覚えています。
AWSサービスをIaaS・PaaS・SaaSに対応づける
ここまでの整理をもとに、CLF-C02で登場するAWSサービスを3つのモデルに当てはめておきます。試験ではこの対応関係を、「顧客の管理範囲が最も狭いのはどれか」「OSを管理する必要があるのはどれか」といった形で問われます。
| モデル | AWSサービスの例 | 顧客が管理するもの | AWSが管理するもの |
|---|---|---|---|
| IaaS | Amazon EC2、Amazon EBS、Amazon VPC | OS、ミドルウェア、アプリ、データ、アクセス権限 | ハードウェア、仮想化、データセンター |
| PaaS(マネージド) | AWS Elastic Beanstalk、Amazon RDS、AWS Lambda、Amazon DynamoDB、Amazon S3 | アプリまたはデータ、アクセス権限、暗号化などの設定 | OS、ミドルウェア、ランタイム、ハードウェア |
| SaaS | Amazon WorkMail、Amazon Connect、Amazon QuickSight、一般のSaaS(Gmail、Microsoft 365など) | データ、利用者の管理 | ソフトウェアを含むすべて |
IaaSの代表:EC2・EBS・VPC
IaaSとして覚えるべきAWSサービスは、EC2、EBS、VPCの3つです。この3つが「サーバー、ディスク、ネットワーク」という、オンプレミスで物理的に買っていたものにそのまま対応しているからです。
EC2は仮想サーバーで、OSを選び、ログインし、好きなソフトをインストールできます。EBSはEC2に取り付けるディスクです。VPCは自分専用の仮想ネットワークで、IPアドレスの範囲やサブネットを自分で設計します。この3つを組み合わせると、オンプレミスと同じ構成をクラウド上に再現できます。
だからこそ、この3つを使うときは顧客の管理範囲が広くなります。EC2のOSにセキュリティパッチを当てるのも、EBSのバックアップ(スナップショット)を取るのも、VPCのセキュリティグループでどの通信を許可するかを決めるのも顧客の仕事です。試験で「OSを含めて細かく制御したい」「既存のオンプレミス環境をそのまま移行したい」とあれば、EC2が正解になりやすいのはこのためです。
PaaS・マネージドサービスの代表:Elastic Beanstalk・RDS・Lambda
PaaSに当たるAWSサービスは、「アプリやデータを持ち込めば、動かす土台はAWSが用意してくれる」ものです。
AWS Elastic Beanstalkは、アプリケーションのコードをアップロードすると、EC2やロードバランサー、オートスケーリングの設定をまとめて構築してくれるサービスです。裏側ではEC2が動いていますが、その環境構築と更新をAWSに任せられる点がPaaSらしいところです。Amazon RDSは、MySQLやPostgreSQLなどのデータベースをマネージドで提供し、OSとデータベースエンジンのパッチ適用、自動バックアップ、障害時のフェイルオーバーをAWSが行います。AWS Lambdaは、コードを置くだけで実行され、サーバーもOSもランタイムもすべてAWSが管理する、サーバーレスの代表です。
試験対策では、この3つを「Beanstalk=アプリを置く」「RDS=データベースを任せる」「Lambda=コードを置く」と役割で覚えておくと、問題文の状況からすぐに対応づけられます。
SaaSの代表:WorkMailやConnect、そして日常のツール
SaaSは、AWSの中では例がやや少なめですが、CLF-C02では「SaaSの特徴」として問われることがあります。
AWSのSaaSとしては、法人向けメール・カレンダーのAmazon WorkMail、クラウド型コールセンターのAmazon Connect、BI(データ分析・可視化)のAmazon QuickSightが挙げられます。いずれもブラウザから使い、サーバーもソフトウェアの更新も意識しません。かつてはビデオ会議のAmazon Chimeも例として挙げられていましたが、アプリケーションとしてのAmazon Chimeは提供終了が発表されているため、これから覚えるならWorkMailやConnectで押さえておくのがよいでしょう。
SaaSの本質を理解するには、AWS以外の身近な例で考える方が早いです。GmailやMicrosoft 365、Slack、Zoomはすべて、利用者がインフラもソフトウェアも管理しないSaaSです。試験で「エンドユーザーがインストールや管理をせずにアプリケーションを利用できる形態は」と問われたら、それがSaaSです。
CLF-C02形式の例題3問で確認する
ここまでの知識を、実際の出題形式で確認します。3問とも筆者が試験の問われ方に合わせて作成したもので、正解と各選択肢の判断理由を添えています。
例題1:OSのパッチ管理から解放されるのは
ある企業がMySQLデータベースをAWS上で運用しようとしています。データベースが動作するOSへのパッチ適用をAWSに任せたいと考えています。この要件を満たすサービスはどれですか。
A. Amazon EC2上にMySQLをインストールして運用する
B. Amazon RDS for MySQLを利用する
C. Amazon EBSにMySQLのデータを保存する
D. Amazon VPC内にMySQLサーバーを構築する
正解:B
RDSはマネージドなデータベースサービスで、OSとデータベースエンジンへのパッチ適用はAWSが行います。顧客はデータベースの中身と設定に集中できます。AはIaaSであるEC2を使うため、OSのパッチ適用は顧客の責任です。CのEBSはディスクであり、それ単体でデータベースを動かすものではありません。DのVPCはネットワークの話で、その中にサーバーを建てればやはりOSは顧客の管理になります。「パッチ適用をAWSに任せたい」という一文が、線を上に上げるサービス(マネージド)を選ぶ合図です。
例題2:ハードウェアはAWS、OSから上は顧客が管理するのは
責任共有モデルにおいて、物理サーバーや仮想化基盤の管理はAWSが行い、OSのセキュリティパッチ、ミドルウェア、アプリケーションの管理は顧客が行うサービスはどれですか。
A. AWS Lambda
B. Amazon S3
C. Amazon EC2
D. Amazon DynamoDB
正解:C
EC2はIaaSであり、AWSが管理するのは物理サーバー、ネットワーク機器、仮想化の仕組みまでです。OSから上は顧客が管理します。A、B、Dはいずれもサーバーレスのマネージドサービスで、OSやミドルウェアは顧客からは見えず、AWSが管理しています。この問題は「OSから上を顧客が管理する」と書かれた時点で、選択肢の中からIaaSを探せば答えが出ます。
例題3:オンプレミスとAWSを併用する形態は
ある企業は、既存のデータセンターにある基幹システムをそのまま維持しながら、新しいWebアプリケーションをAWS上に構築し、両者を専用線で接続して連携させることにしました。このクラウドのデプロイモデルはどれですか。
A. パブリッククラウド
B. プライベートクラウド
C. ハイブリッドクラウド
D. マルチクラウド
正解:C
オンプレミスの環境とクラウドを接続して併用する形態がハイブリッドクラウドです。AはAWSだけで完結する形態、Bは自社専用の環境だけで完結する形態なので、「両者を接続して連携させる」という条件に合いません。Dは複数のクラウド事業者(AWSとAzureなど)を併用する形態を指し、オンプレミスとの併用ではありません。次のセクションで、このデプロイモデルの3分類を整理します。
問題演習をもっと積みたい方は、Udemyの模擬試験形式の問題集を比較した以下の記事を参考にしてください。
本番形式の390問で仕上げる
無料40問で手応えがつかめたら、次は本番と同じ形式で時間を計って解く練習に進みます。CLF-C02は65問を90分で解く試験なので、通しで解く経験があるかどうかで当日の余裕が変わります。
【図解付き】AWS CLF-C02 クラウドプラクティショナー 本番同等模擬試験390問+初学者向け解説
本番と同じ65問×6セット。全問に日本語の解説と図をつけ、不正解の選択肢についても1つずつ理由を書いています。この無料40問とは別の問題です。
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セットで問われるクラウドのデプロイモデル
IaaS・PaaS・SaaSが「何を借りるか」の分類だとすると、デプロイモデルは「どこで動かすか」の分類です。CLF-C02の「クラウドのコンセプト」(24%)でセットで問われるため、ここで整理しておきます。
クラウド・オンプレミス・ハイブリッドの3つ
AWSの試験ガイドでは、デプロイモデルを「クラウド」「オンプレミス(プライベートクラウド)」「ハイブリッド」の3つに分けています。一般には「パブリッククラウド」「プライベートクラウド」「ハイブリッドクラウド」と呼ばれることが多いので、両方の呼び方を知っておくと安心です。
クラウド(パブリッククラウド)は、アプリケーションのすべてをAWSのようなクラウド事業者の環境で動かす形態です。新しく作るシステムの多くがこの形態を取ります。オンプレミス(プライベートクラウド)は、自社のデータセンターや自社専用の環境でシステムを動かす形態です。仮想化技術を使って自社内でクラウドのような使い方をする場合も、この分類に入ります。ハイブリッドは、オンプレミスとクラウドを接続して両方を使う形態です。既存システムを残しながら一部をクラウドへ移す途中の企業や、法規制でデータを社外に出せない部分がある企業で採用されます。
図:ハイブリッドクラウドの構成例。自社データセンターの既存システムとAWS上の新システムを、専用線(AWS Direct Connect)やVPNで接続して連携させます。AWS Outpostsのように、AWSの設備そのものを自社内に置いてクラウドと同じ操作で使うサービスもハイブリッドの一形態です。
ハイブリッドを支えるAWSサービスを名前だけ覚える
デプロイモデルの問題では、ハイブリッドを実現するためのAWSサービスが選択肢に出てきます。深い仕組みは不要で、名前と役割の対応だけ覚えておけば十分です。
AWS Direct Connectは、オンプレミスとAWSを専用線でつなぐサービスです。AWS Site-to-Site VPNは、インターネット経由で暗号化された通信路を作ります。AWS Storage Gatewayは、オンプレミスのシステムからAWSのストレージ(S3など)を使えるようにする橋渡しです。AWS Outpostsは、AWSのサーバーラックを自社のデータセンターに設置して、AWSと同じ操作で使えるようにするサービスです。
問題文に「専用線」とあればDirect Connect、「既存のバックアップソフトからS3に保存したい」とあればStorage Gateway、「データを自社内に置いたままAWSのサービスを使いたい」とあればOutposts、という対応で解けます。
筆者が担当したプロジェクトでも、AWS上で単独で動いていたシステムを、お客様の別の基盤と連携させる形に作り替える案件がありました。このとき苦労したのは技術そのものよりも、つなぐ相手側の仕様や関係者との調整でした。ハイブリッド構成は「つなげば終わり」にはならず、両側の責任範囲を明確にする作業が伴う、という感覚は試験を超えて実務でも役に立ちます。
非エンジニアがこの分類を学ぶ意味
最後に、この分類が試験を超えてどう役立つかを書いておきます。CLF-C02を受ける方の中には、営業職や企画職など、技術者ではない方も多いためです。
筆者の勤務先では、営業職や非技術職にもCLFの取得が推奨されており、実際に多くの営業担当が取得しています。ソリューション提案の場では「これはマネージドなので運用負担が減ります」「ここはEC2なのでOSの管理はお客様側です」といった会話が普通に飛び交います。IaaS・PaaS・SaaSと責任共有モデルの線が頭に入っていると、この会話の意味がわかり、お客様との間で「どこまでを誰がやるのか」の認識合わせができます。技術者でなくても、この線引きができることは提案の信頼につながります。
筆者自身は、技術者としてSAAから先に取り、CLFは資格を揃える目的で後から取りました。それでもCLFの範囲を改めて見直すと、責任共有モデルとIaaS・PaaS・SaaSの関係は、AWSを扱う人なら職種を問わず共通言語として持っておくべき知識だと感じます。
また、筆者は普段から新人の指導やUdemy講座の解説を書くとき、相手の知識レベルに合わせて説明することを大切にしています。この記事で賃貸物件のたとえを1つに絞ったのも、たとえを複数使うと、たとえ同士の関係を理解するという余計な手間が生まれるからです。「土地・建物・家具家電」の3層だけを覚えて、問題文を読むたびに「この状況では、どこまでを自分が用意するのか」と当てはめてみてください。それだけで、IaaS・PaaS・SaaSの問題は安定して解けるようになります。
非エンジニアの方の学習の進め方や、営業職にとってのAWS資格の意味は、それぞれ別の記事でまとめています。
よくある質問
Q. Elastic BeanstalkはEC2を使っているのに、なぜPaaSなのですか?
裏側でEC2が動いていても、その環境の構築、更新、スケーリングをAWSが引き受けているためです。PaaSかどうかを決めるのは「裏側に何があるか」よりも「顧客がどこまで管理するか」です。Beanstalkでは顧客はアプリケーションのコードと設定だけを管理するので、PaaSに分類されます。試験でも、この「管理範囲」の視点で判断すれば迷いません。
Q. マネージドサービスとサーバーレスは同じ意味ですか?
同じではありません。サーバーレスはマネージドサービスの一部です。マネージドサービスはAWSが運用を引き受けるサービス全般を指し、RDSのように顧客がインスタンスのサイズを選ぶものも含みます。サーバーレスはその中でも、サーバーの台数やサイズを一切意識せず、使った分だけ課金されるもの(Lambda、DynamoDB、S3、Fargateなど)を指します。
Q. S3はIaaSですか、PaaSですか?
参考書によってはストレージなのでIaaSに分類しているものもありますが、CLF-C02の視点では「サーバーの管理が不要なマネージドサービス(サーバーレス)」として理解しておけば十分です。試験でS3について問われるのは、分類名よりも「顧客が管理するのはデータ、アクセス権限、暗号化の設定であり、インフラはAWSが管理する」という責任の線の方です。
Q. デプロイモデルはどのくらいの深さで覚えればよいですか?
3つの分類の名前と意味、そしてハイブリッドを実現するサービス(Direct Connect、Site-to-Site VPN、Storage Gateway、Outposts)の名前と役割の対応まで押さえれば十分です。専用線の帯域やVPNの設定方法といった細かい話はCLFの範囲外です。
まとめ
- IaaS・PaaS・SaaSは、住まいを「土地だけ」「建物付き」「家具家電付き」で借りる違いと同じで、右にいくほど自分で用意するものが減り、自由度も減る
- 責任共有モデルは「線をどこに引くか」の話で、IaaSでは線が低く(顧客の管理範囲が広い)、SaaSでは線が高い(顧客はデータとアクセス権限だけ)
- CLF-C02で最頻出の切り口は「OSのパッチ適用は誰の責任か」で、EC2なら顧客、RDSやLambdaならAWS
- 対応関係はEC2・EBS・VPC=IaaS、Elastic Beanstalk・RDS・Lambda=PaaS(マネージド)、WorkMail・Connect=SaaS
- デプロイモデルはクラウド・オンプレミス・ハイブリッドの3つで、ハイブリッドを支えるDirect Connect、Storage Gateway、Outpostsの役割も名前で覚える
CLF-C02でよく出るサービスの全体像や、リージョン・AZといったインフラの用語は以下の記事で整理しています。
勉強方法の全体像はこちらをご覧ください。
▶ 【CLF-C02】AWS クラウドプラクティショナー概要とおすすめ勉強方法
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システムエンジニア
AWSを中心としたクラウド案件に携わっています。
IoTシステムのバックエンド開発、Datadogを用いた監視開発など経験があります。
IT資格マニアでいろいろ取得しています。
AWS認定:SCS, ANS, AIP, SAP, DOP, SAA, DVA, SOA, CLF
Azure認定:AZ-104, AZ-300
ITIL Foundation
Oracle Master Bronze (DBA)
Oracle Master Silver (SQL)
Oracle Java Silver SE
■略歴
理系の大学院を卒業
IT企業に就職
AWSのシステム導入のプロジェクトを担当
