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この記事でわかること
- AWSとAzure、どちらの資格から学習を始めるべきかの判断基準
- 両方の資格を持つ筆者が実際に感じた「設計思想の違い」
- 転職・案件市場での評価の実感と、「両方取るべきか」問題への回答
結論を先に:迷ったらAWSから。ただし「今の現場・志望先」次第で逆転します
AWS認定資格を全12資格、Azure認定資格を3資格(AZ-900・AZ-104・AZ-305)保有しています。両方の資格を取得順に振り返ると、私がAWSを先に選んだのは「当時の会社の主要クラウドがAWSだったから」という、ごく実務的な理由でした。
結論だけ先に言うと、特にこだわりがなければAWSから始めるのが無難です。理由は単純に市場シェアと日本語教材の量です。ただし、これは「特にこだわりがなければ」という条件付きの結論であり、すでに勤めている(または志望している)現場の主要クラウドがAzureなら、迷わずAzureを先にすべきです。この記事では、その判断基準を実体験ベースで具体的に説明していきます。

記事の著者紹介
管理人:syo
- Udemy講師:講師評価 4.5/5.0 受講生多数(筆者Udemy講師ページ)
- AWS認定資格保有:SAP, DOP, SAA, SOA, DVA, SCS, DBS, MLS, ANS, PAS
- Azure認定資格保有:AZ-305・AZ-104・AZ-900
- その他IT資格:基本情報、JAVASE、オラクル、SQL、ITIL、LinuC など
筆者の体験談:AWSを先に選んだ理由とAzureに手を出したきっかけ

AWSは「業務についていくため」に始めた
AWSの資格を取り始めたのは入社3年目の頃です。会社でAWSを使う案件を担当することになったのがきっかけで、当時のAWSの知識はほぼゼロでした。正直、先輩たちの会話がちんぷんかんぷんで、「せめて会話についていけるようになりたい」というのが最初のモチベーションでした。つまり、私自身が最初にAWSを選んだのは戦略的な判断ではなく、単純に「配属先の会社がAWSを使っていたから」です。
Azureは「案件アサイン」がきっかけ、4年越しの2つ目のクラウド
Azureの資格を取り始めたのは入社7年目頃、AWSに触れてから約4年後です。きっかけはAzureを使ったシステム構築の業務にアサインされることが決まったことでした。最初に取得したのはAzure Administrator Associate(AZ-104)です。
このとき感じたのは、AWSで「クラウドの考え方」自体をひと通り叩き込まれていたおかげで、Azureの学習の立ち上がりはかなり早かったということです。仮想ネットワーク、IAM相当の権限管理、マネージドサービスといった概念自体は「呼び方が違うだけ」で理解できたので、AZ-900(基礎レベル)を経由せずAZ-104から始めても大きく困ることはありませんでした。
AWSとAzureの「設計思想の違い」で戸惑ったこと

2つ目のクラウドとしてAzureを学んで、AWSにはない考え方に何度か戸惑いました。特に印象的だったのが次の2点です。
SKU(同じサービスでもプランが分かれる仕組み)
Azureの学習で最初につまずいたのが「SKU」という概念です。同じサービスでも「Free」「Basic」「Standard」「Premium」といったプランによって、できることや性能が変わり、試験でも「このプランではどの機能が使えるか」という細かい知識が問われます。AWSにはこうした「プラン分け」の考え方が基本的にないため、正直かなり勉強がしんどい部分でした。
ただ、これはAWS側にも徐々に近い動きが出てきています。例えばCloudFrontでは最近、利用者にプランを選ばせるような仕組みに変わってきており、「AzureのSKU的な考え方」がAWS側にも少しずつ入ってきている印象を受けています。
サブスクリプション(コスト管理の単位)という発想
逆に「これはAzureの方が良い」と感じたのが、サブスクリプションという考え方です。AWSは基本的にアカウント単位で課金され、部門別のコスト管理はタグなどで頑張って分ける形になります。一方Azureでは、単一のアカウント(テナント)の中にサブスクリプションという課金・管理単位を作れるため、部署ごとのコストをより厳密に切り分けて管理できます。この点は、AWS側にもあればいいのにと感じた数少ない機能でした。
学習教材の量はAWSの方が圧倒的に多い

学習を始めた頃の実感として、Azureの教材はAWSに比べて少なく感じました。私がAzureを学び始めた当時、Azureの問題集は書籍としてはほとんど出回っておらず、Udemyのようなオンライン教材が学習手段の中心でした。一方AWSは、資格ごとに複数の書籍が書店に並ぶくらいメジャーな資格として定着しています。
これは「情報の見つけやすさ」に直結するため、初めてクラウド資格に挑戦する人にとっては地味に大きな差になります。
転職・案件市場での評価:私の現場で見えている実感
ここからは完全に私個人の経験に基づく主観です。実際に案件・現場を見ていて感じるのは、AWS資格を持っている人の方が求人・評価の面で有利に働きやすいということです。理由はシェアの差です。「AWSとAzureのシェアの差は縮まっている」という話をよく聞きますが、私が担当しているプロジェクトのほとんどはAWSで、Azureを使っているのは数件程度にとどまっています。お客様側も「クラウドを使う」という話になると、まず知名度のあるAWSを前提に話を進めるケースが多い印象です。
ただし、これは私の業界・現場での実感であり、金融機関や大企業のバックオフィス系システムなど、Microsoft製品との親和性が重視される領域ではAzureの存在感が全く異なります。「自分の業界・志望先で、どちらが主に使われているか」を最優先で確認してください。
関連記事:
状況別:どちらから始めるべきか
完全未経験からクラウドエンジニアを目指す人
特にこだわりがなければAWSから始めることをお勧めします。理由は前述の通り、シェアと教材量です。ただし、志望している企業や業界がすでに決まっている場合は、その現場の主要クラウドを優先してください。「自分の職場(または志望先)ではどちらの案件が多いか」で判断するのが最も現実的です。
すでにAWS/Azureどちらかの実務経験がある人
すでに片方のクラウドを実務で使っているなら、もう一方を学ぶ価値は十分にあります。マルチクラウドを扱える人材は、シングルクラウドの人材より単純に希少です。それぞれのクラウドの特性を理解した上で、お客様に対して最適なアーキテクチャを提案できる人材になれるという点に、実務上のメリットがあります。
転職・キャリアアップを見据えている人
前述の通り、市場全体で見ればAWS資格の方が評価されやすい傾向を感じています。ただし、すでに転職先の候補が決まっているなら、その企業が使っているクラウドの資格を優先すべきです。求人票に書かれている「歓迎スキル」の欄を確認するのが一番の近道です。
「両方取得すべきか」問題への回答
私自身の結論としては、マルチクラウドの学習は自分にとって良かったと感じています。AWSのあるサービスを学ぶと、Azure(やGoogle Cloud)の似たサービスも自然と結びつけて理解できるようになります。例えばAWSのS3(オブジェクトストレージ)に相当するのは、Azureであれば Blob Storage、Google Cloudであれば Cloud Storage です。どのクラウドを使っても「似たような役割のサービス」が存在するので、対応関係を頭に入れながら細かい差分を理解しておくと、要件に応じて適切なクラウドを提案できる、価値の高いエンジニアになれると思います。
とはいえ、両方を同時並行で学ぶのはお勧めしません。まず片方を実務レベルまで深めてから、2つ目に着手するのが、私自身の経験からも効率的だと感じています。
AWS⇔Azure資格対応表(筆者の理解による目安)
「AWSのこの資格は、Azureで言うとどのレベル?」という疑問を持つ方向けに、筆者の理解に基づく目安表をまとめました。AWSとMicrosoftが公式に定めた対応関係ではなく、試験範囲や難易度感から筆者が実務・学習経験を踏まえて整理したものである点はご留意ください。


| 分野 | AWS | Azure | 補足 |
|---|---|---|---|
| 基礎レベル | CLF-C02(Cloud Practitioner) | AZ-900(Azure Fundamentals) | クラウド全般の基礎用語・料金モデル・サポートプランを問う、最も対応がわかりやすいペア |
| 運用系(アソシエイト) | SOA-C02(SysOps Administrator) | AZ-104(Azure Administrator Associate) | ID管理・コンピュート・ネットワーク・ストレージの運用範囲が重なる |
| アーキテクト系(アソシエイト〜上級) | SAA-C03(Solutions Architect Associate) | ― | Azureには直接対応する「Associate」レベルのアーキテクト資格は存在しない |
| アーキテクト系(上級) | SAP-C02(Solutions Architect Professional) | AZ-305(Azure Solutions Architect Expert) | どちらも「設計上のトレードオフ判断」を問う試験。AZ-305はAZ-104合格が前提という点がAWSと異なる構造 |
| 開発者系 | DVA-C02(Developer Associate) | AZ-204(Azure Developer Associate) | サーバーレス・マネージドDB・メッセージング・SDKの扱いがほぼ同じポジション |
| セキュリティ系 | SCS-C02(Security Specialty) | AZ-500(Security Engineer Associate) | AWSでは「Specialty」級だが、Azureでは「Associate」級という格付けのズレに注意 |
| セキュリティ系(上級) | SAP-C02の一部+SCS-C02 | SC-100(Cybersecurity Architect Expert) | より上位の、組織横断的なセキュリティ設計を問う専門資格 |
| DevOps系 | DOP-C02(DevOps Engineer Professional) | AZ-400(DevOps Engineer Expert) | CI/CD・IaC・可観測性を扱う点で対応。AZ-400はAZ-104またはAZ-204合格が前提 |
| データエンジニア系 | DEA-C01(Data Engineer Associate) | DP-203相当(Fabric関連の後継への移行が進行中) | Azure側は資格の再編が進んでいる領域なので、学習前に最新の試験名を確認すること |
| 機械学習系 | MLA-C01(ML Engineer Associate) | DP-100(Azure Data Scientist Associate) | モデルの訓練・デプロイ・MLOpsを扱う点で対応 |
| ネットワーク系 | ANS-C01(Advanced Networking Specialty) | AZ-700(Network Engineer Associate) | AWSでは「Specialty」級だが、Azureでは「Associate」級という格付けのズレがある |
ネットワークやセキュリティのように、AWSでは「Specialty」(専門知識)級として扱われる分野が、Azureでは「Associate」級として扱われるケースがあるのは、両クラウドを学ぶ際に混乱しやすいポイントです。「格付け=単純な難易度」ではなく、それぞれのクラウドの資格体系の設計思想の違いとして捉えるのがよいと思います。
よくある質問
未経験なら本当にAWSから始めていいですか?
こだわりがなければAWSをお勧めします。学習教材が豊富で、市場での需要も現時点では大きい傾向にあります。ただし志望する企業・業界の主要クラウドがすでに分かっている場合は、そちらを優先してください。
AzureがAWSより向いている人はいますか?
Microsoft 365やActive Directoryなど、既存のMicrosoft製品との連携が重視される企業・業界(金融機関の一部やバックオフィス系システムなど)で働く・働きたい人には、Azureを先に学ぶ方が実務に直結しやすいです。
AWSとAzure、両方の資格を持つメリットは何ですか?
マルチクラウド人材としての希少性に加え、サービス同士の対応関係を頭に入れておくことで、要件に応じて最適なクラウドを提案できるようになる点が最大のメリットだと感じています。
AZ-900を飛ばしてAZ-104から始めても大丈夫ですか?
AWSなど他のクラウドでの実務・学習経験がある人なら、AZ-900を経由せずAZ-104から始めても大きな支障はありません。私自身、AWSでクラウドの基礎概念を理解していたため、AZ-104から始めています。逆に、クラウド自体が初めての方はAZ-900から始めるのが安全です。
AWSとAzureのシェアの差は縮まっていますか?
そのような話は聞きますが、少なくとも筆者が関わっている現場・案件ではAWSが圧倒的に多い状況が続いています。最終的には、自分の業界・志望先の実情で判断するのが確実です。
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まとめ
- 特にこだわりがなければAWSから始めるのが無難(学習教材の量・市場シェアの観点から)
- 志望先・現場の主要クラウドがAzureなら、迷わずAzureを優先すべき
- AzureのSKU・サブスクリプションのような、AWSにはない設計思想の違いに戸惑うことがある
- マルチクラウド人材は希少性が高く、両方学ぶ価値は十分にある。ただし同時並行ではなく、まず片方を深めてから2つ目に着手するのがおすすめ
- 資格の「格付け」はAWSとAzureで設計思想が異なるため、単純比較には注意が必要
3大クラウドの主要サービス対応表もあわせてどうぞ: AWS,Azure,GoogleCloudの主要サービス対応表
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システムエンジニア
AWSを中心としたクラウド案件に携わっています。
IoTシステムのバックエンド開発、Datadogを用いた監視開発など経験があります。
IT資格マニアでいろいろ取得しています。
AWS認定:SCS, ANS, AIP, SAP, DOP, SAA, DVA, SOA, CLF
Azure認定:AZ-104, AZ-300
ITIL Foundation
Oracle Master Bronze (DBA)
Oracle Master Silver (SQL)
Oracle Java Silver SE
■略歴
理系の大学院を卒業
IT企業に就職
AWSのシステム導入のプロジェクトを担当


