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記事の想定読者
本業がSE/エンジニアで、副業として開発案件・受託を検討している(またはすでにやっている)人。
「すぐ稼げる」案件と「積み上がる」副業のどちらを取るか迷っている人。
あわせて、『黒い金持ちのズルい成功術』の中身が気になる人も想定しています。
はじめに|「すぐ稼げる副業」を選ばなくてよかった
エンジニアが副業を考えるとき、いちばん自然に浮かぶ選択肢があると思います。
「本業でコードを書いているんだから、副業も開発案件を取ればいいのでは?」
スキルがそのまま使える。単価もイメージしやすい。初月から現金が動く可能性がある。
正直、私も本気で検討していました。技術ブログを育てるより、案件を取ったほうが「稼いでいる感」は早い。当時の自分には、かなり魅力的なルートに見えました。
結果から言うと、やらなくてよかったと思っています。
すぐ稼げそうな乗り物に乗らなかったことで、あとから資産になる形の副業(ブログ・アフィリエイト・Udemy)に時間を割けました。しかも今はAIの発達で、「開発スキルを副業の核にする」判断そのものの重みも変わってきています。結果論ではありますが、当時の選択は今の自分を助ける方向だったと感じています。
その判断を、あとからきれいな言葉にしてくれたのが、内田博史さんの『黒い金持ちのズルい成功術』にある 「成功は努力ではなく乗り物選びの先にある」 というたとえです。
この記事では、単なる書評ではなく、「開発案件を取らなかった私の副業」と本書の乗り物論を重ねて書きます。
「スキルがあるなら案件を取るべきか」「時間を売る副業と、積み上がる副業の違いは何か」を整理したい人の参考になれば嬉しいです。
『黒い金持ちのズルい成功術』と「乗り物選び」の話
サラリーマンは徒歩、副業は自転車、仕組みは新幹線
本書で強く残ったたとえが、「乗り物選び」です。
ざっくり言うと、こんな整理でした。
| 乗り物のたとえ | 本書でのイメージ | 私の翻訳 |
|---|---|---|
| 徒歩(以下) | サラリーマン的な働き方 | 時間を売って給料をもらう |
| 自転車 | 副業・週末起業の入口 | 自分の時間で小さく稼ぐ |
| 自動車〜新幹線 | 仕組み化されたビジネス・資産収入 | 働いていない時間にも売上が立つ |
ポイントは、「努力の量」より先に 「どの乗り物に乗っているか」 を見ろ、というところです。
徒歩でどれだけ全力疾走しても、新幹線には勝てない。副業でも同じで、頑張っているのに伸びないときは、努力不足ではなく乗り物の問題であることがあります。
私にとって開発案件は、「自転車より少し速そうに見える徒歩」でした。
一見すぐ稼げる。でも、乗っているあいだはずっとペダルをこぎ続ける必要がある。一方で、ブログや教材は最初は遅いけれど、あとから勝手に走るパーツが残る。
この対比が、今回の記事の軸です。
本書の位置づけ(会社員の副業と相性が良い)
著者は内田博史さん。総資産30億円、運営会社グループで年商50億円規模という実績を持つ実業家で、YouTube「内田博史【金持ちの習慣】」でも発信されています。本書は上下巻構成で、上巻は思考の書き換え、下巻は凡人でも再現しやすい稼ぎ方・集客・行動の話が厚くなります。
きれいごと少なめの本なので、タイトルだけで敬遠する人もいると思います。私も最初は胡散臭さを感じました。ただ読んでみると、「読んだだけで満足するな。行動しろ」が一貫していて、会社員が週末起業を考えるときの現実路線にも近いです。
中身が気になる人向けに、Amazonのページを置いておきます。
「努力の方向」側の感想は、別記事でも書いています。今回は乗り物=収入モデルの話に絞ります。

私が本気で検討していた「開発案件」という乗り物
SEなら案件を取ればすぐ稼げる、という誘惑
副業を本格検討し始めたころ、私の頭にはいつも開発案件がありました。
理由はシンプルです。
- 本業で使っているスキルがそのまま使える
- 単価のイメージが湧きやすい
- ブログのように「いつ稼げるか分からない期間」が短そうに見える
- 「エンジニアらしい副業」として周囲にも説明しやすい
技術ブログは、最初の半年〜1年近くはほぼ無収入に近い時期もありました。そのとき隣に見えていたのが、案件という近道です。
「記事を書いている暇があるなら、その時間で開発したほうが現金になるのでは?」——この誘惑は、かなり強かったです。
それでも最終的に、私は案件ルートを選びませんでした。今振り返ると、理由は3つあります。当時から全部クリアに見えていたわけではなく、あとからAIの時代が来て「本当にやらなくてよかった」と感じが強くなった部分もあります。結果論を含めて書きます。
やらなくてよかった理由①|時間の切り売りはスケールしない
開発案件の本質は、基本的に 時間を売ること です。
クライアントの要件を聞き、設計し、実装し、納品する。稼いだ金額は、だいたい投下した時間に比例します。うまく単価を上げても、1日は24時間しかありません。本業がある会社員なら、使える時間はさらに少ない。
本書で言う「未来の売上のパーツを毎日1個作る」の対極にある働き方です。
今日の売上は取れる。でも、昨日のこぎ出したペダルは、今日はもう残っていない。
一方で、ブログ記事やUdemy教材は違います。作ったあとも検索やレビュー経由で売れ続けることがある。完璧ではないにせよ、「働いていない時間にも動く」感覚が生まれます。
私はこの差を、実際に体験して初めて理解しました。頭では分かっていても、案件の即金性の前では薄れやすい視点です。

やらなくてよかった理由②|AI時代に、積み上げた開発スキルが薄まる
ここが、いまいちばん強く感じている点です。
結果論ですが、開発副業をやらなくてよかったと感じています。せっかく副業でコアな開発スキルを身につけても、それが今後AIに置き換わるなら、積み上げたつもりが、積み上がっていなかったことになりかねないからです。
私自身、いま副業や本業で使うツールをバンバン作っています。ただし、ほとんどを Claude Code や Cursor などのAIで作っています。プログラムを一から手で書く時間は、明らかに減りました。体感としては、プログラムを作るコストが0に近づいているように思います。
つまり、副業の核を「自分が手でコードを書く能力」に置いてしまうと、市場の変化に対して脆弱です。
案件単価が下がる可能性もあるし、同じ成果をより安い手段で出せる人が増える可能性もある。努力が消えるわけではないけれど、「その努力が資産として残るか」は別問題です。
本書には「時流という追い風を読め」という話もあります。今ならAI、動画、オンライン、教材販売などが追い風側。逆に、個人が固定費の重い対面・店舗に飛び込むのは向かい風、という整理です。
私の感覚では、「手作業のコーディングそのものを売る」 も、少なくとも個人の副業のメインエンジンとしては向かい風側に寄ってきていると思っています。
誤解したくないのは、「エンジニアが不要になる」と言いたいわけではないことです。
設計・要件・責任・ドメイン知識は残る。ただ、副業として 時間単価の実装労働に振り切る のは、以前より魅力が落ちた、というのが私の結論です。
やらなくてよかった理由③|本業と競合しやすい・体力が持たない
3つ目は、かなり現実的な話です。
本業がSE/PM寄りの働き方だと、副業でも開発案件を取ると、頭の使い方が本業とほぼ同じになります。夜と週末も同じ負荷をかけ続けると、燃え尽きやすい。家族との時間も削られやすい。
私は会社員のまま副業を続ける前提だったので、「本業のコピーをもう1本書く」ルートは避けたほうがいいと感じました。
ブログや教材づくりも楽ではありません。ただ、アウトプットの形が違うので、頭の切り替えがしやすい。案件のように納期に追われる緊張感も、自分のペースで設計しやすい。
すぐ稼げる乗り物に見えても、乗り続けられない乗り物なら意味がありません。ここも、あとから思うと重要な判断基準でした。

代わりに乗った乗り物|ブログ→アフィリ→Udemy
最初は遅い。でも「未来の売上のパーツ」が残る
案件を取らなかった私は、技術ブログから始めました。
最初は遅いです。数PV、収益も数円の期間が長い。案件ならその時間で数万円稼げていたかもしれない、と思う瞬間もありました。
ただ、後から見ると、ここで作っていたのは「今日の売上」ではなく、未来の売上のパーツでした。
- 読者との接点(ブログ)
- 他人の商品を売る導線(アフィリエイト)
- 自分の商品(Udemy教材)
本書でいうわらしべ長者の構造に、規模は違うけれど近い積み上げです。
案件が「今日こいで今日着く」なら、こちらは「道を舗装しながら進む」感覚に近いです。最初は遅い。でも、舗装した道は残ります。
寝ている間にも売れる感覚が、初めてのブレイクスルーだった
私にとっての大きな転換点は、「働いていない時間にも売上が立つ」感覚を得たことでした。
Udemyの教材は、ブログ開始から約2年後に作り始めました。最初の教材は、ブログからの流入もあり、初動で200USD以上(約3万円)売れた記憶があります。その後、ブログとUdemyを中心に、月20万〜30万円程度の副業収益を出せる時期もあります。ブログ単体でも、月数万円をコンスタントに稼いでくれる時期がありました。
もちろん、いつも右肩上がりではありません。検索順位も変わるし、教材も改善が必要です。それでも、開発案件のように「今日稼働したから今日入る」とは質が違う。
本業中や寝ているあいだにも売上が立つことがある——この感覚は、時間の切り売りでは得にくいブレイクスルーでした。
わらしべの積み上げは、乗り物を一段ずつ乗り換えること
ここで大事なのは、最初から新幹線に乗れ、という話ではないことです。
私は最初から完璧な勝ち筋が見えていたわけではありません。ブログをやり、アフィリエイトに寄せ、自分の教材を出す。一段ずつ乗り物を乗り換えていった側です。
本書を読んで方向をガラッと変えたのではなく、「案件を避けて資産型に寄せた判断は、乗り物選びとして悪くなかった」と答え合わせできた、という順番です。
だから、今案件をやっている人が「全部やめろ」と言いたいわけでもありません。
現金が必要なフェーズなら、自転車(案件)も武器になります。ただ、いつまでも同じ乗り物に乗り続けるかどうかを、定期的に点検したほうがいい。私はその点検の結果、案件には乗らない選択をしました。
会社員のまま、自転車から自動車へ寄せる
週末起業・小さく始める、という本書の現実路線
本書を読む前は、「こういう系の本は結局『会社を辞めろ』と言うのでは」と思っていました。実際は逆で、サラリーマンをしながら週末起業し、うまくいってから軸足を移せばいいという現実的なスタンスでした。
私自身も、本業は会社員のまま、副業でブログやUdemyを育てています。固定費を抑え、小さく始め、借金で勝負しない。開発案件のように稼働を積み増すより、会社員の守りを残したまま資産を積むほうが、自分には合っていました。
今の私はどこに乗っているか
本書のたとえに当てはめると、私の副業はまだ新幹線ではありません。
一部は仕組み化されていますが、大規模ではないので、自転車と自動車のあいだくらいだと思っています。
それでも、徒歩だけよりは明らかに速い。案件のように毎日全力でこがなくても、ある程度前に進むパーツがある。この感覚があるだけで、副業の継続コストは下がります。
次にやりたいのは「仕組み化」
これから寄せたいのは、メルマガやLPなどを使った、もう一段の仕組み化です。
良いものを作れば売れる、は嘘で、集客と仕組みが大事——この点も本書と体験が一致します。Udemy教材も、ブログや実績で最初の顧客をつけないと動きにくい。
AIでプログラムを作るコストが下がった今だからこそ、逆に大事なのは「何を作るか」「誰に届けるか」「どう自動で回すか」です。
コーディングそのものを売るより、AIを使って自分のビジネスのパーツを増やす側に回る。私はいま、その向きでツールも作っています。
『黒い金持ちのズルい成功術』が向いている人
向いていると思う人は、こんな人です。
- SE/エンジニアで、副業の開発案件を検討している(または既に疲弊している)人
- 「すぐ稼げる」ことと「積み上がる」ことの違いを整理したい人
- 会社をすぐに辞める気はないが、週末起業的に育てたい人
- すでに少し動き始めたが、「この乗り物でいいのか」を言語化したい人
- きれいごと少なめの実業家の話を、自分の状況に翻訳して読みたい人
逆に、次のような人には向かないかもしれません。
- 著者の過去の描写など、生々しい話が苦手な人
- 「読んだだけで人生が変わる」ことを期待している人
- 再現性より、精神論だけの前向きさが欲しい人
本書は、読んだ瞬間に稼げる本ではありません。
私にとっては、副業の乗り物を照合するための本に近かったです。案件を続けるか、資産型に寄せるかで迷っている人ほど、精神論ではなく判断材料として使えます。
改めてリンクを置きます。
おわりに|副業の乗り物、一度点検してみてほしい
本書が繰り返し言うのは、「読んで満足するな。行動しろ」です。情報を100仕入れても、行動が0なら結果は0です。
もし今、副業の選択肢で迷っているなら、量を増やす前に次の3つだけ点検してみてください。
- その副業は、時間を売っていないか
- 寝ていても動くパーツは残るか
- 今の乗り物の次の一段は何か
私は開発案件という「すぐ稼げそうな乗り物」を選ばず、最初は遅い資産型のルートに乗りました。
当時は不安もありました。でも今は、AIで実装コストが下がる時代だからこそ、あの判断は結果的に悪くなかったと感じています。スキルを磨くこと自体は大切です。ただ、磨く場所を「売れる労働」だけに置くと、時代が変わったときに積み上がりにくい。
読んだだけで終わらせず、自分の副業の「乗り物」を一度照合してみる。それが、この本のいちばんの使い方だと思います。
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システムエンジニア
AWSを中心としたクラウド案件に携わっています。
IoTシステムのバックエンド開発、Datadogを用いた監視開発など経験があります。
IT資格マニアでいろいろ取得しています。
AWS認定:SCS, ANS, AIP, SAP, DOP, SAA, DVA, SOA, CLF
Azure認定:AZ-104, AZ-300
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Oracle Master Silver (SQL)
Oracle Java Silver SE
■略歴
理系の大学院を卒業
IT企業に就職
AWSのシステム導入のプロジェクトを担当
