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国内大手SIerに勤めて7年が経過しました。会社名は明かせませんが、国内大手SIerの仕事ってぶっちゃけどうなのか就職や転職でSI業界に興味がある方に向けて記事にしていきます。(筆者の勤め先は以下のどれかです。)
筆者自己紹介
管理人:syo
サラリーマンエンジニア歴10年
新卒で入社した大手システム会社でリモートワーク&年収800万円に到達
AWS関連プロジェクトのインフラエンジニア&プロジェクトマネージャーを担当。
仕事大好き人間
■略歴
・新卒入社
・4年目:主任ランクに昇格
・7年目:係長ランクに昇格
SIer(システムインテグレーター)ってどんな会社
SIerはシステム開発を専門としている会社です。
ノウハウを持っていない会社がシステム開発を行うのはとてもハードルが高いです。エンジニアを雇って体制を作って要件を決めて設計して開発して…と考えることがとても多いのです。
そこでシステム作りを専門としている会社がSIerです。
システムを作るにはITスキルを持つSE(システムエンジニア)が必要です。企業が使うシステムは規模が大きいので、プログラミングスキル以外にも大型プロジェクトをマネジメントするスキルも必要となります。
要員
ざっとプロジェクトマネージャー、開発者(プログラマーや設計者)、基盤技術者(インフラエンジニア)、セキュリティエンジニア、画面デザイナー、運用SEなどの要員が必要です。開発するシステムの特性によって適切な要員でチームを立ち上げる必要があります。
工程・ノウハウ
一般的なシステム開発のでは要求分析、要件定義、設計などの複数の工程を進めていく必要があります。
お客様のやりたいことが明確になっている場合は要件定義から、そうでない場合はコンサルから実施する場合があります。
国内で大きなシェアを占めるSIerは富士通、日立、NTTDATA、NECなどがあります。
大手SIerと中小SIerの業務の違い
大手SIerも中小SIerも同じプロジェクトに参画することがあります。しかし大手(元請け)と中小(下請け)で役割が全く異なります。
同じプロジェクトに参画する場合の大手と中小の体制図の例を書いてみました。
入社7年目程度の筆者は10名程度のチームを引き連れてPMを担当しています。大手では100人程度のプロジェクトでPMを務めている方もいらっしゃいます。
大手SIer(元請)
ミッション:体制を作り、プロジェクトを円滑に進める。プロジェクトの総責任者。
大手SIerは元請けとしてプロジェクトにかかわることが多いのでプロジェクトの運営が仕事となります。
もちろん、元請がシステムの品質、予算、納期のすべてに責任を持ちます。
大切な能力はプログラミングスキルではなく、大型プロジェクトを運営するコミュニケーション能力や計画力です。プロジェクト運営に加えてお客様との折衝、プロジェクトのステークホルダーとのコミュニケーションも必要です。
設計者やプログラマーが作成した成果物の品質に責任を負うのもプロジェクトです。ゆえに品質に問題ないかを確認する役割もあるので技術的な知見も必要となります。プロジェクトで作成するものは画面、サーバ側のプログラム、インフラなど多岐にわたるので幅広いITスキルが必要です。
プロジェクトの運営に興味がある方、ルールを決めていきたい方に大手SIerの仕事が向いていると思います。
逆にコーディングなどの狭い範囲の技術をがっつり身に着けたい方や、決められたルールに従って仕事するのが好きな方は向いていないかと思います。
- 顧客との折衝能力(コミュニケーション能力)
- マネージメント能力
- ルールを作る
- 幅広いITスキル(広く浅く)
- ルールに従うだけ
- プログラミングスキル
中小SIer(下請)
ミッション:プロジェクトマネージャーの指示通りに動き、問題を起こさない。
筆者は中小SIerに在籍していたことはありませんが、何度も一緒に仕事をしています。その経験からお話しします。会社の規模的にはフリーランス~社員数数千人の中企業の会社様と仕事をしたことがあります。彼らは基本的には大手SIerの下請けとしてプロジェクトの実務を行います。
中小SIerでも元請けとしてプロジェクトにかかわっていることがあります。就職しようとしている会社が下請けメインの会社なのか元請けメインの会社なのかは確認しておくと着任後のミスマッチがなくなると思います。
業務内容としては設計、実装、テストなどの実作業が主です。プロジェクトマネージャーが決めたルールに従って業務を遂行していきます。
技術を極めたい方や決められたルールに従って仕事したい人には向いているかと思います。
- 決められたスケジュールに対して遅れを出さない(スケジュールに無理がある場合は相談する)
- 品質問題を起こさない
- 専門的な技術(狭く深く)
- プログラミングスキル
- 画面デザインなどのスキル
- ルールを決める
- スケジュールを決める
大手SIerのSEの具体的な業務内容
大手SIerの具体的な業務を紹介します。主にPMBOKにあるような業務を実施します。
PMBOKとはProject Management Body of Knowledgeの略称で、プロジェクトマネジメントの知識を体系化したものです。
よく大手は中抜きだけして下請けに丸投げするという話を聞きますが、そんなことはありません。(少なくとも私が勤めている会社は)やるべき業務はたくさんあります。
大手SIer業務1:プロジェクト立ち上げ
営業と一緒に提案活動から行います。SEはRFP(提案依頼書)をもとに技術的な側面から実現可能性の確認と費用の見積もりを行います。SEでも営業活動はします。営業ではわからないような技術的な視点での営業補助的な役割です。
そして受注できたら必要な人員を集めます。自社のメンバーだけで組織することはあまりありません。予算や必要なスキルセットを加味して協力会社を選定します。
大手SIer業務2:お客様への要件や仕様のヒアリング
打ち合わせの場でお客様と要件・仕様のヒアリングを行います。議論が発散しすぎないように場をコントロールします。
あらかじめ今日決定したいことのゴールを明確にしておくのが良いでしょう。
適宜画面などのモックアップを準備しておくと具体的な議論になってよいと思います。
お客様からは無限に要件が出てくることもありますが、予算や納期を伺った上でスコープ調整する必要があります。(何を実装して、何をあきらめるのか)
大手SIer業務3:プロジェクトの運営 ★主業務
一番多くの時間を使うのがプロジェクトの運営業務です。進捗に問題はないか、コストが悪化していないか、品質に問題はないかなど気にしておくべきことはたくさんあります。
代表的な業務を以下でご説明します。
- 作業見積もり、スケジュール作成
-
スコープ調整で決定した必要な機能と必要な工程から所要工数を見積もり、スケジュールを作成します。見積もりはファンクションポイント法を用いることが多いです。過去に類似プロジェクトがある場合はその実績工数をもとに見積もります。
見積もり工数と納期によってプロジェクトメンバーの調整します。
- 進捗確認
-
ミーティングでチームの進捗を確認します。頻度はプロジェクトによりさまざまです。デイリーのミーティングで直近の作業内容と進捗を確認します。
スケジュール遅れを隠しているメンバーがいることがあるので進捗を確認する場合は成果物の現物を確認します。
遅れや課題がある場合は原因を分析して手を打っていく必要があります。問題が起きた場合、早期発見で適切に処置するように動いていきます。
発覚した問題に応じてスケジュール調整、作業の入れ替え、発生している課題に詳しい人を連れてくるなどして解決を図ります。臨機応変な対応が求められます。
- コスト管理
-
プロジェクトのお財布を管理します。財務状況が悪化する/その兆しがある場合は手を打つ必要があります。
収入:お客様からの発注
支出:下請けへの発注、自社社員の稼働、IT機材の購入、ソフトウェアのライセンス費用、クラウド利用料などなど
- 品質管理
-
協力会社が作成した成果物をそのままお客様に納品することはあり得ません。正しく要求通りに作成されているか、必要なテストは実施されているか、品質に問題ないのかを確認します。
自社のメンバーで受け入れ試験を実施することもあります。品質管理が甘いと品質問題に発展するのでここの工程はしっかり実施しましょう。具体的には以下観点で確認します。- 試験ケースが網羅されているか
- 予定していた試験ケースを消化しているか
- 規模に見合った試験ケース数を実施しているか
- 各工程のレビュー工数と指摘内容は妥当なものか
- 規模に見合ったバグ数か?(多すぎる場合:バグを取り切れていないことを疑う 少なすぎる場合:試験ケースの不足を疑う)
- バグが見つかった場合、類似バグの横展開確認はされているか。また横展開の実施方法
- バグが見つかった機能の傾向(担当者に偏りがないか)
大手SIer業務4:社内外審査対応
社内審査 目的:会社として出荷に足る品質になっているか確認する
社内審査対応ではプロジェクトの節目(受注前、設計フェーズ終わり、テストフェーズ終わりなど)に上司や部長などにプロジェクトの状況を説明して合格をもらう必要があります。(金額によって課長審査、部長審査。役員審査など、レベルが変わります。)
会社として出荷に足る品質が担保できていることを審査で確認します。
社外審査(お客様の審査)
お客様でもリリース判定会審査を行うことがあります。その審査に弊社のプロジェクトマネージャーが出席してどのように品質を担保したのかを説明することがあります。
大手SIer業務4:そのほか雑務
会議での議事録取り、開発環境の手配、SlackやTeamsのユーザ管理、会議資料準備などいろいろあります。新人や若手がアサインされがちです。(個人的には若手の立ち上がりが遅れる原因だと思っています。)
また、大手は教育がしっかりしていること+プロジェクトマネージメントには幅広いIT知識やビジネススキルが必要なので頻繁に研修があります。
研修の例
- ITスキル研修(データベース、プログラミング、クラウド、AIなど)
- ビジネス系研修(コミュニケーション、ロジカルシンキングなど)
- プロジェクトマネジメント研修
- 法律系研修(下請け法、コンプライアンス、建設業法など)
大手SIerのSEのキャリアパスの例
大手SIerのSEのキャリアパスの例を紹介します。
現場で実務を経験して徐々にステップアップしてプロジェクトマネージャーとして活躍できるようになるのが一般的です。
キャリアのスタートはプロジェクトの実作業を担当
プログラミングや設計、テストなどを実務をこなします。大手SIerは開発などの実作業をすることは珍しいですが、若手は例外で経験を積むためにアサインすることが多いです。
将来プロジェクトマネジメントをするにあたり、現場の実作業を知っておくことは大切です。
プロジェクトマネージャーのお手伝い
プロジェクトマネージャーの指導の下、一部マネジメント業務を切り出して担当します。次第に業務を幅を広げていき一人立ちを目指します。
小規模チームのプロジェクトマネージャーからステップアップ&一人立ち
自分がリーダーとしてプロジェクトを遂行します。小規模プロジェクトであれば難易度も低いので経験を積んで徐々に大規模プロジェクトのマネージャーを目指していきます。
大手SIerの年収
筆者の場合の年収の推移を公開します。これは平均年収と比較してかなり高い金額です。給与形態に関しては最近は年功序列ではなく、成果主義が取られています。
年次 | 年収 |
---|---|
1 | 約400万円 |
2 | 約450万円 |
3 | 約500万円 |
4 | 約500万円 |
5 | 約600万円 |
6 | 約700万円 |
7 | 約850万円 |
【無料】SIerのSEに興味がある方向けエージェント紹介
大手SIerに興味がある方向けのエージェントのご紹介です。すべて無料で利用できます。
記事内でSIerのキャリア例を紹介しましたが、キャリアは人それぞれ違うものです。エージェントでは自分に合ったキャリアプラン作成の相談も可能です。
サービス | ツナグバ | レバテックルーキー | レバテックキャリア | キャリアネクスト |
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ターゲット |
IT業界未経験 フリーター |
就活生 | IT/Web系経験者 | IT業界経験者 第二新卒・若手 |
年齢層 | 20-35歳 | 学生 | 20~45歳 | 10代~39歳 |
IT未経験 | OK | OK | NG | NG |
大手SIer求人 | △(中小メイン) | 〇 | 〇 | 〇 |
特徴 | キャリアプラン作成 履歴書作成 面接対策などもサポート |
企業の現場の生の声を提供 キャリアプラン作成 ファーストキャリア の相談、カウンセリング |
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料金 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 |
リンク | ツナグバ | レバテックルーキー | レバテックキャリア | キャリアネクスト |
IT経験者であればレバテックキャリアまたはキャリアネクストがおすすめです。
IT未経験者であればツナグバがおすすめです。
就活生であればレバテックルーキーがおすすめです。
まとめ
SIerの仕事を紹介しました。ざっくりとは以下の違いがあることを説明しました。
- 大手SIer:プロジェクトが円滑に進むようにマネージメントする。お客様との折衝やヒアリングをする。
- 中小SIer(フリーランス含む):設計、開発、テストなどの技術的な業務を担当する。
SIerの仕事に興味がある方の参考になれば幸いです。
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システムエンジニア
AWSを中心としたクラウド案件に携わっています。
IoTシステムのバックエンド開発、Datadogを用いた監視開発など経験があります。
IT資格マニアでいろいろ取得しています。
AWS認定:SAP, DOP, SAA, DVA, SOA, CLF
Azure認定:AZ-104, AZ-300
ITIL Foundation
Oracle Master Bronze (DBA)
Oracle Master Silver (SQL)
Oracle Java Silver SE
■略歴
理系の大学院を卒業
IT企業に就職
AWSのシステム導入のプロジェクトを担当